赤から黄色へ

ひまわり

第1話

ふわふわしたものが好きだった。白くてふわふわなもの。クマのぬいぐるみ。

幼稚園の頃、ぼくは決まって共有の玩具箱から鼻がピンクの白いぬいぐるみを取り出して遊んでいた。

『ゆうちゃん、みーちゃんもいっしょにあそんでもいい?』

わたあめみたいな声がして、ふりむくと髪を小さなリボンでふたつに結んだみぃちゃんがいた。

ぼくはいつも恥ずかしいような、照れくさいような気持ちになって

『うん、あそぼ』

と、教室で元気な女の子たちが牛乳パックの家に入って遊んでいるのを気にもせずに、2人で椅子を家具にして、一匹のぬいぐるみでずっと遊んでいた。

他の女の子がみぃちゃんと遊ぼうと声をかけることもあったけど、僕はみぃちゃんの手を引っ張ってその女の子には渡さなかった。


みぃちゃんは小学生に上がる年に引っ越しをした。お別れの時に住所の書いた紙をみぃちゃんは、みぃちゃんのお母さんから受け取って、ぼくに渡してくれた。結局ポケットに入れたままにしてしまって、洗濯機で回してしまったから、手紙を送ることはできなかったけれど。

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