第一話 「転校生 【前編】」
皆さんは、『ヒーロー』に憧れたことはあるだろうか?
「最高のタイミングで登場し、ピンチでも必ず逆転勝利をする。」そんなイメージで、男なら小さい頃に誰しも憧れたことがあるんじゃないかと思う。
俺こと
ただ今年から高校2年生になる俺からすると、そろそろこの気持ちが湧き出てくるお年頃である。
「そんなうまく行く訳ねーだろ!!」
2099年5月
高校の校庭に集められた全生徒の前で、壇上に登った女性がマイクを持つ。
「今日からこの学校に転校してきた上野四音君だ、クラスは2年B組。みんな仲良くしてやってくれ」
【関東魔法学園高等学校】通称「東法高校」は東京の中では1番、全国でも「日本三大高校」の一つに数えられている進学校だ。
この高校は「魔法」を中心に力を入れている為、優秀な能力者は「能力者推薦枠」として多く入学している。
かといって、無能力者で一般入学した人達がハブられる訳でもないらしい。
それは今俺を紹介した女教師が優秀だからと言っても過言ではない。
学校の校長兼、俺がこれから入るクラスの担任を務めるこの先生は、全国でも超有名人である。
「
黒髪ロングで、女性にしては160後半という高身長、程良く鍛えられた体形に整った顔立ち。偶にモデルにも載ったりするほど、男女問わず非常に人気の高い選手だ。
「20代後半にあらゆる能力において全盛期を迎える」と言われてる『戦闘の世界』で、今年で38歳を迎えても『四天王』入りをするという偉業を成し遂げている。更に東法高校の校長兼クラス担任って、幾ら何でも優秀すぎるだろ…
「先生の指導を1度でも良いから受けたい!!」と志願して、この高校を受けるという生徒も結構いるらしい。
「上野四音です、よろしくお願いします」
紹介された俺は壇上に登り、全生徒の前で挨拶する。
先生の横に並ぶと、唯でさえパッとしない自分の印象がより際立ってしまう…
この学校に『転校生』として入ってくる生徒は海外留学以外ほぼ無いらしい。
なので日本人の転校生である俺は、生徒から非常に珍しい目で見られる。
「上野は一年の時に親の都合で海外で暮らしてた。だから
先生が軽く説明を加えて、俺に壇上から降りるように言った。
壇上から降りた俺はそのまま指定された位置に戻る。
やはりまだ生徒の視線を感じる。
(しんどいな…)
俺は特に優れた身体能力や魔力適正がある訳ではない。
魔法が日常になったこの時代で、基本的な魔力攻防が出来るくらい。
正直この学校の生徒に比べたら間違いなく下の下だろう。
それが「転校生」というだけで注目を浴びるのは辛すぎる話だ。
「早くもこの先不安しかない…」
生徒達の注目の視線を受けながら、将来に不安を感じる四音であった。
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