とにかく俺は世間知らずな社長令嬢が心配です
翔也
第一章
第1話 ファーストコンタクト
何気ない朝にジリジリとうるさい時計を止め、身体を起こす。時計を見るとまだ時間には余裕があった。
「ふあ~あ……そういや今日から授業か」
入学式を終え、昨日に軽く校内を散策しただけで一日が終わり今日から授業が開始。
あ、俺は誰だって?名前は
何処にでも居そうな普通の男子高校生だけど、一部界隈ではちょっとした有名人でもある。
「兄さん。起きてますか?」
「おう、今起きたとこ」
部屋に入ってきたのは双子の妹の
一応双子で先に産まれたのが俺ということで、戸籍上俺が兄になってる。
愛香はサイドポニーがトレードマークらしく、俺以上に頭の出来が良い。そこは父さんに似た感じ。
それで居てかなりのブラコンを拗らせているちょっと残念な女の子。
「兄さん、私はブラコンじゃないですし。残念でもありません」
ジト目で睨んでくる愛香には俺の考えは全てお見通しという。というか勝手に読むな、怖いだろうが。
☆☆☆
朝御飯を母さんと一緒に取り、時間までのんびりと過ごす。
登校時間になったところで丁度父さんが起きてくる。
「おはよう、あといってくる」
「いってきます」
「んー、気を付けて行ってこいよー」
俺と愛香は父さんに軽く挨拶をしてから、同時に家を出た。
ていうか父さん時間大丈夫なのか?
「まあこの時間なら母さんが怒ってますね」
「そうだな」
あの両親は仲が良いのか悪いのか……。
そんなこんなで俺達は学校に着いたら、校門がいつもより騒がしい。誰か何かやらかしたのか?
「兄さん、あれ」
愛香に袖を引っ張られてそのまま目線を追うと、そこに居たのはあの篠坂財閥のご令嬢が我が学校に来てるではないか。
一体どういうことだ?社長令嬢ならもっと良い学校に行ってる筈では?
「綺麗……しかも、でかい」
突っ込まん、突っ込まんぞ。確かに愛香とは違って……?!
「いででっ!か、関節が……!!いきなり何すんだ!」
「死にたいですか?」
愛香の満面の笑みを見ると背筋がゾッとして、勢いよく顔を横に振る。そうだ、こいつの前では胸の話はご法度。
今みたいに腕の一本を折りかねないからな。
「…………別に小さくても良いじゃん。お兄ちゃんのバカ」
急に妹っぽくなるの止めてもらえませんかね愛香さん。心臓に悪いです。
だが俺は誰かに見られてるようなそんな視線を感じた。
「お兄ちゃん?」
「ああいや……気のせいだ」
一瞬だけどあのご令嬢と目が合ったような気がする。
というか何故にあのご令嬢が俺なんかを?
「分からんな……」
「さっきから何ですか?もう」
いつもの調子に戻った愛香と共に校内へと入っていく。
これがまさかあんなことになるなんて、この時の俺は考えてすら居なかった。
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