お団子

 泥団子を売ってくれるという、少年の家に遊びに行った。


 カウンターに、つるつるの泥団子が並んでいる。

 五歳くらいだろうか。まんまるまなこの少年がにこにこしている。


「おひとつ、くださいな」


「ありがとうございます。300オクです」


「300億は高いな~」と笑って答えられたら良かったのだけれど、なぜだか、その時、僕には「300石」と聞こえたので、焦ってけんしわを寄せてしまった。


 領民の行く末を五歳の子どもに任せるわけにはいかない。


 すると、少年は、

「うそです。タダです」と心配そうな顔して、言い直したので、買っていた草団子を渡して、その場を去った。


(完)


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