『今日から悪魔の契約者!』(4)

「勝手な事言わないでよ、それって私になんのメリットがあるの!?」


第一、生命力を吸収されるなんて恐ろしいイメージしかない。

だが、コランは全く引かない。


「契約したら、なんでも願いを叶えてやる。それが悪魔のルールだ」


真菜は一瞬、何も言い返せなくなった。

願い事が叶うなんて、普通の人からすれば最高の条件なのだろう。

欲深い人間であれば、それで命を削ったとしても……。

もう一押しかと思ったのか、コランが言葉を続ける。


「この『黒い本』は、強い『生命力』と、もう1つ。強い『願い』を持つ人間の元へと導かれるんだ」


コランは、まるで導くように、誘うように……赤い瞳で真菜の姿を捉える。

耳に自然と入り込む口調は、悪魔の囁きなのだろうか。


「真菜には、あるんだろ?叶えたい『願い』が」


それでも真菜が惹かれたのは『条件』ではなく、コランの眼差しだった。

見透かされているのだ、真菜の本当の心を。

急に悪魔らしい表情を見せる、そのギャップも恐ろしい。


「オレは、どうしても人間界で暮らしたいんだ。お願いだ、オレの願いを叶えてくれ」


強引に迫ったかと思えば、今度はお願いされてしまった。

そんな真剣な眼差しで、お願いされたら……嫌だとは言えない。

コランの赤い瞳には、魔力が宿っているのだろうか?

それとも、お互いの気持ちが一致したから?


「どうしてコランくんは、そこまでして人間界で暮らしたいの?」

「一人前の悪魔になりたいのと……他にも色々」


悪魔は人間と契約し、その人間の願いを完璧に叶える事で一人前と認められる。

契約期間中は、人間界で暮らすのもルールなのだ。


「……分かったわ。契約してもいい」

「ありがとう、真菜!!」


真菜の同意を得て、コランは一瞬にして笑顔になった。

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