『今日から悪魔の契約者!』(3)

コランは真菜の部屋に入ると、床の隅に詰んである教科書に手を伸ばした。

その一番上に置かれていた『黒い本』を手に取る。


「やっぱり、ここにあった」

「コランくん、この本の事知ってるの?」


コランはニッコリと笑って真菜の方を向くと、堂々としたポーズで黒い本を見せつける。


「この本は『最強の人間』の元へと導かれるんだ」

「え!?」

「真菜が『最強の人間』だという証だ!!」

「ええー!?」


真菜にとっては、何もかもが一方的な決めつけだ。

最強と言われるほどの力や能力を持っている訳でもない。


「それって何度も言われたけど、何を基準に?私、普通の女子だけど!?」

「『生命力』だ。真菜は人間界で一番、生命力が強いって証拠だ」


生命力……?そんなもの計れないし自覚もないし、ピンとこない。

真菜が戸惑っていると、コランがさらに勝手に語り始めた。


「悪魔は、人間界で活動する時には生命力を消費するんだ」


そ、そうなんだ、それで……?


「だから悪魔は人間と『契約』して、その人間の生命力を吸収しながら活動するんだ」


な、なんだかこの悪魔、恐ろしい事を言い始めてない……?


「真菜の『最強の』生命力が欲しい」


なんだか、だんだんと彼の笑顔が『悪魔の微笑み』に見えてきた……


「オレと契約してくれ、真菜」


それって完全に自己都合じゃない!!

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