しゃぼん玉の中の孤島

月井 忠

第1話

 そこは真っ暗で何もありません。




 何もないところからしゃぼん玉が一つ現れました。


 どんどん膨らんでいくとパチンと割れました。


 熱すぎたみたいです。




 何もないところからしゃぼん玉が一つ現れました。


 どんどん膨らんでいくとパチンと割れました。


 重すぎたみたいです。




 何度か同じことを繰り返していると、今度は割れずにどんどん大きくなりました。


 今も大きくなっています。


 僕たちは、このしゃぼん玉の中にいます。


 僕たちは、このしゃぼん玉を宇宙と名付けました。




 この宇宙には、いっぱい島があります。


 島はすごいスピードで、それぞれ遠ざかっています。


 僕たちのいる島から、他の島に行くには時間がかかりすぎて行くことができません。


 そのうち、隣の島を残して、他の島は全て遠ざかってしまいます。


 僕たちは、この島を銀河と名付けました。




 この銀河には、いっぱいマッチが散らばっています。


 マッチは燃えていて、とても熱いです。


 しばらくすると、マッチは燃え尽きてもっと小さな芯が残ります。


 僕たちは、このマッチを恒星と名付けました。




 この恒星には、いくつかの砂が散らばっています。


 砂は恒星の周りを回っていて、たまにぶつかります。


 砂は恒星から近いと熱すぎて干からびてしまいます。


 砂は恒星から遠いと寒すぎて凍ってしまいます。


 僕たちは、この砂を惑星と名付けました。


 僕たちは、恒星からちょうどいい位置にいます。




 この宇宙ができてから、やっと138億年ぐらい経ちました。


 まだまだ先は長いそうです。

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しゃぼん玉の中の孤島 月井 忠 @TKTDS

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