プロローグ

 人は必ず誰かに見せる事のない自分を抱えている。その葛藤かっとうがどの程度かは人に寄るが。


 時に献身に似た執着心により、幸福な感情や破壊したい感情が生まれる。他人を幸せにしたい感情と、その気持ちを否定するように壊したくなる感情は紙一重だ。


 手に持ったガラス瓶が床に落ち飛散ひさんするように、大切な感情は何かをきっかけにしてすぐに失われる事もある。

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