第十一章 元気付けたい! 誕生日会!

閑話 暗闇の仕上げ

「あと2つ……あと2つだ!」


 暗闇の中、椅子に座っているヒースはそう言った。


「楽しそうだね、ヒース!」


「あぁ……これもカルデナのおかげだ、ありがとう」


「えへへ……嬉しいな」


 ヒースが人をモンスターにさせる携帯電話を配布する理由……それは……。



「もうすぐだ……もうすぐ私はこの星を……あと2つ……データが揃えば……完成する……」


 ヒースは……「紫色の携帯電話」を2つ持ってそう呟いた。

 ……カルデナは、喜んでいるヒースを見て、ある質問をした。


「ねぇ、ヒース! 聞いていい?」


「なんだい? カルデナ」


 ……カルデナの言う質問、それを伝えると怒るかもしれない……そう考え、機嫌がいい今、伝えるべきだと考えたのだ。


「ヒースのパソコン見て知ったんだけど……」


「こらこらダメじゃないか、人のパソコンを勝手に見ちゃ……」


「ごめんなさい……」


 カルデナは悲しい顔をして、下を向いた。

 ……怒られてしまった、次は見ないようにしよう……カルデナはそう考えた。


「そんなに落ち込まなくていいよ、次は見ちゃダメだよ?」


「うん……」


「それで、何を見たんだい?」


「えっと……なんか……『白い人』と、『怖い動物』が……」


「……ほう?」


 ヒースは椅子から立ち上がり、カルデナの方に歩き始めた。


「ひ、ヒース?」


 カルデナはいつもと違うヒースの姿に恐怖を覚え、後ずさりをした。


「カルデナ……何を見たんだい?」


「え、えーっとね……」


 カルデナは怖くなり、自身のスキルを使って逃げようと考えていた。

 ……が。


「スキルは使わせないよ……」


 ヒースは瞬時にカルデナの首を掴んだ。


「ひ、ヒース……苦しいよ……」


 ヒースはそのままカルデナを床に叩きつけ……今まで彼女にお使いをさせていたもの取りつけた……それも2つ、両腕に。


「う、ぐ……」


 カルデナは地面に手を着き、苦しみだした。

 ヒースはカルデナを蹴飛ばし、上から見下ろすように仁王立ちをした。


「さぁ、言え。望みは何だ?」


「……ヒースに……喜んでもらいたい……」


「良く言えたな」


 ヒースは、かつてカルデナが多くの人にそうしたように、物を手渡した。

 しかし、手渡した物は、携帯電話ではなかった。

 それは……『金色の鍵』だった。


「その望み、今すぐ叶えてこい」


「……」


 カルデナはその鍵を受け取り、頷いた


「さぁ、この私を喜ばせろ!」


 カルデナはヒースの言った言葉を無表情で聞き入っていた。

 今までの彼女であったら、恐らく満面の笑みを浮かべていたことだろう。

 そしてカルデナは無表情のまま、暗闇の奥へ奥へと消えていった……。


「ふふふ……あははははははは!!」


 ヒースはそんなカルデナの姿を見て……高く笑った。

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