第六章 病院行った、怪物も出た!?
第百十八話 酔い止め薬、お大事に!
「お大事に」
「ありがとうございました……」
処方箋の酔い止め薬を貰って、薬局を後にした。
いやぁ……緊張した……。
「結局、『何の病気でも無かった』な! ははは!」
シェダルが俺の肩を叩いて言った。
「良いと言えば良いけど……『君ぐらいの歳で乗り物酔いを頻繁にするなんて珍しいね』なんてお医者さんに言われちゃったよ」
「ははは! まぁでも私は安心したぞ! 何でもなくてよかったじゃないか!」
病院行く前に、恐る恐るネットで調べたら「大人で乗り物酔いは病気の疑いあり!?」みたいな記事を発見してしまって、外に出るのが怖くなって、シェダルが背中を押してくれた。
「病気でもいいじゃないか! 治せるなら行った方がいい」とか何とか言って。
「さ、今日は卓郎さんが仕事でいないし、飯でも食いに行こう! ちょうど換金した金も振り込まれたし、あぁそういえばお前の取り分だ、ほら」
「あ、ありがとう……って、こんなにいらねぇよ」
「お前が換金したやつ寄越せって言ったんだろう!」
シャダルは町中で現金を大胆に出してきた。
1万円が数枚くらい見えた……が、想像以上の取り分で、躊躇してしまった。
いや、昨日確かに換金したやつ寄越せとか言ったけど、高くて1万円とか考えてたし……
「いいじゃないか、多少高めなお小遣い手に入ったと思えば……」
「いやいや、さすがにこんなには受け取れねぇよ、1万円だけでいいから、シェダルのほうが圧倒的に大人だから有効に使えるだろ? 俺はほら、無駄なことに使いそうだし」
高校に入ってから、叔父さんから数千円くらい小遣いを貰っているが、あまり使ってない。
なんか……使うの勿体ないというか……。
「そうか? じゃ、一万円な!」
「お、おう……」
俺の掌に一万円が渡った。
……これはモンスターを始めて討伐した勲章みたいなもんだし、有効的に使おう。
「んじゃ、この残りの金で何か食べに行こう、何がいい? 高級フレンチでも帝国ホテルでもいいぞ?」
なんでその2つが上がる……というか普段着でそういうところ行くのはどうなんだ?
「いやいや、ここは普通にハンバーガー屋とかラーメン屋とか……」
「ラーメン屋か! いいな! それにしよう! この辺で美味い店知ってるか?」
「すまん、俺外食あんましないからよくわからん……」
これは叔父さんの飯が美味いってのもある。
叔父さん、自分で「昔はレストランを渡り歩いたくらいなんだよ」と言っていた。
その言葉は恐らく嘘ではないだろう。
「よし、じゃあネットで調べよう」
「お前、インターネットで換金したり、5年も寝てた割にハイテクなものに慣れすぎだろ……」
「こういうのにはすぐに慣れないと置いていかれるからな!」
「それもウトピアで学んだの?」
「そうだ!」
これも、150年の時の中で学んだことなのか? なら納得だ。
俺も、時代に置いていかれないようにしよう。
「おぉ! この辺に美味い老舗のラーメン屋があるみたいだ! 行こう!」
「お、おい……引っ張るなよ!」
シェダルはお腹が空いているのか、俺の腕を無理矢理引っ張った。
「さぁ腹が減った! 飯だ飯だ!」
「だから、引っ張るなって!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます