第百八話 新たな武器、パクリじゃない!
「でも、こういうのはプロの冒険者とかに任せた方がいいんじゃない?」
三沢が意見を言った
……うーん、俺らの知り合いの冒険者に剣さんや春香さんがいるが……彼らは確かに強そうだけど、まだ会って間もないしな。
「いや、私らにとっては、身近に仲間がいた方がいいんだ。プロの連中は頼りにはなるが、あんまり信用できなくてな」
「身近ねぇ……」
シェダルも疑り深いな……信用出来ないのは確かに思うが。
「……なるほどね、いいね! 俺も平和な世界を取り戻したいし! 俺は賛成!」
小松は俺たちの軍勢に入ることに賛成らしい。
他の3人はどうなのであろうか?
「……翔琉が賛成ならついていきたいけど」
「ウチら、さっきも体力の限界で、途中から使い物にならないことがあったし……」
「……自信……無いです」
結構弱気な感じだった。
まぁ無理もない、俺も同じ立場なら、同様の意見を言っていたであろう、そもそも俺の場合は武器が使いこなせないから、腕輪が無けりゃそれこそ使い物にならない。
「安心しろ! お前らのために新たな兵器を作った!」
シェダルは「ちょっと待ってろ!」と言って、収納スキルに変身した。
この間なんか道具を弄っていた気がするが……アレってまさか? ……そういえば、ダンジョン行く前に言っていたな。
『それに、私もあいつらに用があるんでな!』
その用っていうのがこれか。
シェダルは収納スキルのリュックから、4つの武器(?)を取り出した。
「シェダルちゃん……なにこれ?」
小松が困惑の声を上げた、俺もよくわからない。
出されたのは、赤い剣と青い鎚、緑の碇みたいな形をしている何かと紫の杖みたいな棒だった。
「これはお前ら専用の兵器! 赤いのは『レッドセイヴァー』だ! これは翔琉、お前のだ!」
「俺の!?」
赤い剣……レッドセイヴァーとやらは小松の物らしい、ということは。
「この『ブルーハンマー』は愁! この弓は『グリーンアロー』、悠里の物だ、そして最後にこの『ヴァイオレットステッキ』は薫の物だ!」
「うお!?」
「マジ!? なんか可愛い!」
「……綺麗」
なんと、全員のスキルに合わせた武器だ、あの碇みたいなの弓なのか……。
ん? ちょっと待て、なんか既視感があるぞ、この武器……まさか。
「おいシェダル! これキョウリュウダーからパクって……」
「あー! あー! 聞こえないなー!」
「……」
やっぱりか! 自分の腕輪の音声がパクリだったことを嘆いていたのに、今度は開き直って全力でやりやがったぞこいつ!
「でも、この武器じゃ、今使ってる武器と変わらなくないか?」
「ふふふ、これはただの武器じゃない、ちょっとお前らの携帯をこっちに渡してくれ、最終調整に入る」
「あ、うん……」
「いいけど……」
「これどうするの?」
「……」
4人は困惑していた。
俺もシェダルが何を考えているのかわからない、ただ小松の言っている「普通の武器と変わらない」というのは引っかかった、シェダルが作る武器だ、きっと何かがある。
そう考えていると、シェダルは「ちょっと待ってろ」と言って自分の部屋へ行った……。
「全く、何考えてるんだあいつ……」
俺は思わず呟いてしまった。
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