第百六話 鍵屋に帰還、迎える叔父さん

「さて、そんなこんなで、行くぞ!」


「お、おい!」


 シェダルが、力強く俺の腕を掴む。

 何でそんなに急かす!


「みんな! 手をつなげ!」


「おう!」


 小松が俺の手を掴んだ。

 さすがに男の手は……まぁいいか。

 順番はシェダル、俺、小松、羽田、岩国、三沢だった。


「よし! ホール展開!」


 シェダルは杖で輪っかを作り、転移ホールが出来上がる。


「うお!? それってこの間2人が入ったやつ!?」


「そん中入れちゃうの!? やば!」


 三沢と羽田が興奮し始めた。

 俺はというと……言わずもがな、吐き気の心配をしていた。


「さ、しっかり捕まれよ!」


「うわぁ!?」


「うおおおお!?」


「いやっふぅぅ!」


「きゃあああああ!」


「……」


 俺たちは、シェダルの先導のもと、転移ホールへと飛び込んだ。



「それ到着! あっという間だろう?」


「うおおおお! ここはもう地上か!?」


「すっげぇ! 一瞬じゃん!」


 転移スキルの凄さを、小松と羽田は称賛した。

 ちなみに俺は……。


「……金剛くん、大丈夫? 顔真っ青だよ?」


「……」


 吐きそうになっていた、何回行ってもこれには慣れない。

 羽田が心配してくれたが、なんて答えればいいか分からず、黙ってしまった。


「さ、中に入ろう、昇」


「お、おう……」


「あ、そうだ、みんな、携帯外そ」


「転移に圧倒されてて忘れるところだった」


 4人は腕輪から携帯電話を外し、普段着に戻った。

 俺は吐き気を我慢しつつ、俺は鍵屋の玄関を開けた。


「叔父さん、ただいま……」


「おかえりー! 昇くん! お友達連れてきたんだって?」


 店の玄関を開けると、エプロン姿の叔父さんが出迎えてきた。

 中には、何やら甘い香りが漂っていた。

 ……どうやら、叔父さんが4人のために菓子か何かを作ったようだ。


「初めまして、金剛くんがお世話になっています、小松翔琉と申します」


 小松がまず先頭に立って叔父さんに挨拶をした。

 さすが御曹司なだけあって、礼儀正しかった。

 ……1つ言うとしたら、世話になったのこっちなんだけどな。


「俺は三沢愁です! よろしくお願いします!」


「ウチは羽田悠里です!」


「……岩国薫です」


「みんなよろしく! 僕は昇くんの叔父の卓郎! よろしくね! 翔琉くん、愁くん、悠里ちゃん、薫ちゃん!」


「……さぁ、こっち」


 4人と叔父さんは一通り挨拶をし、俺は4人を居間へ案内した。


「……昇、この4人はお前の事、友達だと思っているんじゃないか?」


「……うるせぇ」


 シェダルが小声で耳打ちをしてきて、俺はその内容が恥ずかしくて、咄嗟に否定した。


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