第百六話 鍵屋に帰還、迎える叔父さん
「さて、そんなこんなで、行くぞ!」
「お、おい!」
シェダルが、力強く俺の腕を掴む。
何でそんなに急かす!
「みんな! 手をつなげ!」
「おう!」
小松が俺の手を掴んだ。
さすがに男の手は……まぁいいか。
順番はシェダル、俺、小松、羽田、岩国、三沢だった。
「よし! ホール展開!」
シェダルは杖で輪っかを作り、転移ホールが出来上がる。
「うお!? それってこの間2人が入ったやつ!?」
「そん中入れちゃうの!? やば!」
三沢と羽田が興奮し始めた。
俺はというと……言わずもがな、吐き気の心配をしていた。
「さ、しっかり捕まれよ!」
「うわぁ!?」
「うおおおお!?」
「いやっふぅぅ!」
「きゃあああああ!」
「……」
俺たちは、シェダルの先導のもと、転移ホールへと飛び込んだ。
◇
「それ到着! あっという間だろう?」
「うおおおお! ここはもう地上か!?」
「すっげぇ! 一瞬じゃん!」
転移スキルの凄さを、小松と羽田は称賛した。
ちなみに俺は……。
「……金剛くん、大丈夫? 顔真っ青だよ?」
「……」
吐きそうになっていた、何回行ってもこれには慣れない。
羽田が心配してくれたが、なんて答えればいいか分からず、黙ってしまった。
「さ、中に入ろう、昇」
「お、おう……」
「あ、そうだ、みんな、携帯外そ」
「転移に圧倒されてて忘れるところだった」
4人は腕輪から携帯電話を外し、普段着に戻った。
俺は吐き気を我慢しつつ、俺は鍵屋の玄関を開けた。
「叔父さん、ただいま……」
「おかえりー! 昇くん! お友達連れてきたんだって?」
店の玄関を開けると、エプロン姿の叔父さんが出迎えてきた。
中には、何やら甘い香りが漂っていた。
……どうやら、叔父さんが4人のために菓子か何かを作ったようだ。
「初めまして、金剛くんがお世話になっています、小松翔琉と申します」
小松がまず先頭に立って叔父さんに挨拶をした。
さすが御曹司なだけあって、礼儀正しかった。
……1つ言うとしたら、世話になったのこっちなんだけどな。
「俺は三沢愁です! よろしくお願いします!」
「ウチは羽田悠里です!」
「……岩国薫です」
「みんなよろしく! 僕は昇くんの叔父の卓郎! よろしくね! 翔琉くん、愁くん、悠里ちゃん、薫ちゃん!」
「……さぁ、こっち」
4人と叔父さんは一通り挨拶をし、俺は4人を居間へ案内した。
「……昇、この4人はお前の事、友達だと思っているんじゃないか?」
「……うるせぇ」
シェダルが小声で耳打ちをしてきて、俺はその内容が恥ずかしくて、咄嗟に否定した。
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