第百三話 カビイーター、溶かされた!?
「おい! シェダル! 返事をしろ! シェダル!」
俺は呼びかけた、大声で。
お願いだ、無事でいてくれ! お願いだ!
「シェダル……まさか……」
カビイーターで……溶かされた……? そんな……俺のせいで……。
……俺はその場に座り込んでしまった。
「おい……金剛?」
崩れ落ちる俺に向かって、小松が声を掛けた。
こいつらを守ることはできたが……捕らわれたシェダルは……
「まさか……シェダルちゃんは……」
「噓でしょ……ウチら、まだ会って間もないのに……」
「……シェダルさん」
俺のせいだ、俺のせいでシェダルは……
「……!? 金剛! 危ない!」
小松の大声が聞こえ、我に返った。
すると、動かなくなったはずのデビルイーターが……動き出した。
まずい! 今は隙だらけ……
……戦闘態勢を整えようとした、その時だった。
突然、後ろから、テンポの遅い拍手が聞こえてきた。
俺たちはデカい蜘蛛野郎をそっちのけにして、音のする方向に目をやった。
暗闇から現れたのは……
「……まさか」
白い頭髪に、銀色のコート。
その姿は、間違いなく……
「……シェダル!?」
「シェダルちゃん!?」
「無事だったの!?」
……シェダルだった。
シェダルは微笑みながら、拍手をしてこちらに向かって歩いてきた。
「いやはや、素晴らしい戦いだったな! 思わず見惚れてしまった!」
こいつ……やっぱり……
「俺を試していたな!?」
捕らわれていた時のあの口調、余裕そうな態度。
やはり俺の事を試していたようだった……と言っても、こっちもガチで心配していたのは事実だ。
「ははは! その通り! ただし、より正確に言えば、『君たち』を試していた!」
「俺たち……? どういうことだよ? シェダルちゃん」
小松は疑問の声を上げた。
確かに、これはどういうことだ?
「これもすべて君たちのチームワークを確認するためだったのさ! いやはや、最初は不安だったが、予想以上だったぞ!」
「お前……」
俺はシェダルの肩を掴み、小声で話しかけた。
「お前殺す気かよ! こっちは死ぬかと思ったんだぞ!」
「まぁまぁ、本当に危ないときは私が間に入ったさ、それに倒せた上に、あいつらに謝ることができるいい機会だったろう?」
「……」
どうやら俺は……シェダルの掌の上で踊らされていたようだ。
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