第九十六話 デカい蜘蛛、ヤバいかも
「さぁ、この調子であのモンスターも倒してみろ!」
シェダルは首を向こう側に向けてそう言った……。
あのモンスター……ってあれは!?
「あの時の授業で襲ってきたあの蜘蛛か!?」
忘れもしない、あの黒い影、間違いなくそうだった。
「デビルスパイダーだ、今のお前ならできる!」
「いや手伝ってくれよ! アレはさすがに無理だって……」
あんな巨大な奴どうしろってんだよ……絶対に一人では倒せない。
「お前寝る前に戦わせろって言っただろ? 言い訳するな」
「そうは言ったけど……」
「ほら、避けろ!」
「うわぁ!?」
蜘蛛……デビルスパイダーが糸の塊をこちらに向けて発射してきた。
俺たちは二手に離れて避けた。
「さぁどうする? 相手はこちらを拘束してくるぞ?」
「どうするって……」
考えなきゃ……どうすればいい?
考えなきゃ……考えなきゃ……。
……どうしよう、考えようにも、向こうはお構いなしに攻撃を続けている。
……って危ない!
「シェダル!」
「あ、すまん、捕まった」
……デビルスパイダーが糸を飛ばし……シェダルの体を捕らえた。
「呑気なこと言うんじゃねぇよ!」
俺は剣スキルに変身して糸を切ろうとした……が。
「硬い!?」
奴の糸は鉄線のように硬かった。
「ふふふ、さぁどうする? このままでは、私は巣に連れていかれてお陀仏だ」
「お前なんでそんな呑気なんだよ!?」
シェダルは死を覚悟している素振りもなく、俺を試しているかの如く話した。
そして糸がデビルスパイダーの方へ引っ張られシェダルは……。
「あ、待て!」
……連れていかれてしまった、どんどん奥の方へ行ってしまい、俺は追いかけた。
「シェダル! シェダル!」
俺は名前を呼び続けた、だがデビルスパイダーは待ってくれなかった。
「シェダル!!!」
俺は死に物狂いで走り続けた……そしてデビルスパイダーは、突然立ち止まった。
……チャンスだ。
「よし、今のうちに……」
……しかし、デビルスパイダーは壁をよじ登り、真上の暗闇へと消えていった。
「……シェダル!」
俺は真上に向かって叫び……どうしようもなくなって、膝から崩れ落ちた。
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