第九十二話 朝のニュース、ダンジョンへ行く!?

『こちら、拘置所前です! ご覧のように、猪塚被告の釈放を求めるデモが展開されています!』


「こいつらまだやっているのか」


 ニュースを見て、シェダルはそう呟いた。

 画面の中のデモ隊は、相変わらず、「警察は捏造するな」「猪塚さんは無実」「これは政府の陰謀」といった主張をしていた。


『先日逮捕された男子生徒に対しても、「未成年を利用するな」「子どもを解放しろ」といった主張をしている模様です!』


 あのスライム野郎は病院に搬送されて回復した後、逮捕されたらしい。

 変身する瞬間やその後の被害を教室に居合わせた奴らが証言して、物的証拠もあることから、言い逃れはできないであろう……にしても、あの携帯、どこで手に入れたんだ?

 ……ニュース画面はあのスライム野郎の両親が涙ながら会見する映像に切り替わった。


『あの子は……本当に優しい子なんです……あんなことをする筈がありません……早く返してください……』


 ……なーにが返してくださいだ。

 こちとらそいつに殺されそうになったのに。


「最近物騒だねぇ……昇くん、シェダルちゃん、外出先で何かあったらすぐさま逃げるんだよ! 叔父さん、仕事行ってくるからね!」


「叔父さんも、気を付けてね」


「いってらっしゃい、卓郎さん」


 叔父さんは仕事へ向かった。

 ……さて、これからどうしようか、学校も休校しちゃったし、やることが無い。


「さぁ昇!」


「ダンジョンにはいかない!」


「まだ何も言ってないだろう!」


 昨夜、ベッドの中で言っていた、「明日はダンジョン探索しよう」という言葉を思い出して、すぐさま反論した。


「だから言ってんだろうが、学校が……」


 家で大人しくしてろって言ってんだよ!

 ……そう言おうとした時、俺の携帯が鳴った。

 メッセージの通知だった。


『今日ダンジョンに行こうぜ! そこならモンスター人間は出ないだろうし!』


 小松からだった。

 ……いや、そうとは限らないだろ、ノリで書いてんのか?


「ほほう、あいつらもダンジョンに行くのか!」


 シェダルが俺の携帯を覗き込んでそう言った。


「んじゃ、挨拶がてら行ってみるか!」


「おいおい……」


「それに、お前はあいつらに言わなきゃいけないことがあるだろ?」


「……」


 んなこと言っても、いざ直接言うとなると恥ずかしいというか……。


「それに、私もあいつらに用があるんでな! さぁ出発しよう!」


「用? ……っておい! 引っ張るな! 分かったよ!」


 俺はシェダルに引っ張られて、強制的にダンジョンへ連行された

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