閑話 暗闇の観察

『昨日未明に起きた、県立祇園高校のモンスター出現事件で、モンスターに変身した15歳の男子生徒が今日、傷害などの罪で逮捕されました』


 暗闇の中、ヒースはテレビを眺めていた。


『男子生徒は病院に搬送されたのちに逮捕され、調べに対し、『洗脳から解放したかった』と供述している模様です、警察は教室に居合わせていた生徒たちの証言などから、この男子生徒が、突然腕輪を身に着け、携帯電話を握りしめていたとのことで、捜査を続けています』


 ニュースを見て、ヒースは若干顔を顰めた。


「結果は良好だが……少し改良する必要がありそうだ……」


 そんなことを言い、「黒い携帯電話」をアタッシュケースに納めたヒースは、立ち上がろうとする。

 テレビを消し、歩き出す……そんなヒースの前に、カルデナが現れる。


「ただいまー! ヒース、お土産買ってきたよー!」


 カルデナは買ってきたであろう菓子をヒースに差し出した。


「ありがとう、カルデナ」


「ねぇねぇ何見てたの?」


 カルデナはテレビを指さして、ヒースに質問をするが、ヒースは首を横に振った。


「なんでもないよ、それより、お使いありがとう」


「えへへ、また褒められちゃった」


 ヒースはカルデナの頭を撫でた。


「ねぇねぇ、またお使い行きたいな!」


「今はまだ大丈夫だよ……しばらくはね」


「えー、つまんなーい」


「我が儘言わないの、いい子にしてなさい、さ、行くよ」


「はーい……」


 ヒースとカルデナは暗闇の奥へと消えていった。


「少し改良するとしよう、そして……」


 ヒースは歩きながら、計画の段取りを考えていた。

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