　一方、教室では、全生徒が校庭に注目し、騒然としていた。

　青い液状の何かが校庭を飛び出したと思ったら突然あの鍵スキルが金色の姿になって、炎の魔法を放つかと思ったら、謎の穴から銀髪の少女が飛び出してそれを止めて、転移ホールを作って校庭にいた者全てが消えたのだから。

「まさかあの鍵スキルが……？」

「嘘だろ……？」

「まさかこの間のオークを止めた冒険者有志ってあいつか？」

「いや、有り得ないだろ……」

　そんな会話が教室中を響き渡っていた。

　すると、後ろのドアから、クラスの中心的な存在、小松翔琉が帰還する。

「翔琉！？」

「翔琉くん！？」

「大丈夫だった！？」

　皆、消えた鍵スキル持ちよりも、クラスの中心人物的存在の男を心配した。

　小松は黙って自分の席に座った。

「なぁ翔琉、……金剛は？」

　三沢は、席に着いた小松に向かって小声で言った。

「今、シェダルちゃんとどこかへ消えた」

「マジ！？　シェダルちゃん！？　会いたかった～」

　羽田は、異国の少女に会えなかったことを残念がっていた。

　なぜスライム人間よりも、その少女に出会えなかったことを苦にするのかは甚だ疑問ではあるが、ボーイフレンドの言葉で正気に戻った

「あの2人……大丈夫かな？」

「……きっと大丈夫だよ！」

「……そうそう！　なんせあんなモンスター倒したんだぜ？」

　３人は、どこかへ消えた昇とシェダルの心配をしていた。

　そして離れた席に座る岩国も、同じように心配していた。

「金剛くん……シェダルさん……」

　４人はダンジョンの授業を思い出し、不安を隠せなかった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい