第七十二話 強いオーク、助太刀する
「うぅ……ここまで来たけどやっぱ酔う……」
「ここで吐くな!」
「だ、大丈夫……ギリギリ……」
俺とシャダルは転移スキルで地下鉄の駅に到着した。
官庁街であるこの辺りなら、普通なら日曜日のこの時間も人が多い筈なのだが、人っ子一人いない。
……モンスター騒ぎでみんな逃げたのだろうか? 全員逃げられたか不安だ。
「ここにはいないようだな……外に行ってみるぞ!」
「あ、あぁ!」
俺は鍵スキルの鍵を出した。
シェダルも一度転移スキルの鍵を抜き、同様の鍵を出す。
「気合入れるぞ!」
「あ、あぁ!」
気合を入れる……あのキメポーズか、まぁいいだろう。
俺たちは、変身ポーズを決め、掛け声を叫んだ。
「「スキルチェンジ!」」
『『鍵スキル!』』
鍵を挿すと、お互いの待機音が地下鉄の駅構内に響き渡った。
俺とシェダルは、ほぼ同時に鍵を回した。
『『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』』
この厳粛な地下鉄の駅には明らかに合わない、ドライバーのような槍を持ち、金と銀のコートを身にまとった男女2人……俺とシェダルが、変身を完了する。
「さぁ行くぞ昇!」
「おう!」
俺たちは地上へと駆け上がった。
◇
地上へ駆けあがり、俺たちは国会議事堂の目の前に着いた。
そこで見た光景とは。
「まずいぞ! 公安が押されてる!」
オークの攻撃を盾で防ぐ機動隊員たちがいた。
オークは盾に向かって突撃を続けていた。
何とかして抑え込もうと機動隊は前進するが、この豚野郎の攻撃が激しすぎていて、なかなか進めない状況にあった。
「早く何とかしなきゃ!」
俺はオークへ向かって突撃した。
「お、おい! まずは様子を見てからにしろ! 相手は得体のしれない奴なんだぞ!」
シェダルはこんなことを叫ぶが、今は機動隊の人を助けるのが先だ!
俺は機動隊が作った城壁の中に入り、オークに攻撃した。
ドライバーを振り回すと、オークの体から火花が飛んだ。
「君は誰だ!?」
「まさか、冒険者有志か!?」
「なんでもいい! 早く何とかしてくれ!」
城壁を形成している人々からの声援、これに応えなきゃ男が廃る。
俺はドライバーで斬撃を繰り返した。
……が、やはりそう上手くはいかなかった。
オークは俺の持っていた武器目掛けて攻撃を仕掛けたのだ。
するとドライバーは……
「お、折れたぁ!?」
……先端が折れてしまった。
こいつはまずい、ステゴロじゃ、あっちの方が圧倒的に有利だ。
ここはどうすれば……
すると、城壁の中に新たな乱入者が加わった。
それは、白い髪に銀のコートを身にまとった……
「シェダル!?」
「何をしている! だから言っただろう! 様子を見ろと!」
確かにこの状況でそれを言われてしまうと、何も言い返せなかった。
……機動隊の人に助太刀していい所見せようとしただけだったんだ! ……シェダルの言う事に反論はできないけれども。
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