閑話 国会議事堂

 一方、国会議事堂

 正門前では、先ほどまでデモを鎮圧していた機動隊が、そのまま現場に居着いていた。

 撤収する数分前にそのような事態が起きたため、現場が整うのにそれほど時間は掛からなかった。


「冒険者ギルドと自衛隊はまだ着かないのか!」


「今現在、冒険者有志と自衛隊がまっすぐこちらに向かっています! まだ時間が掛かるかと……我々だけで持つかどうか……」


「畜生……俺たちだけでどうしろっていうんだ……」


 機動隊を指揮する歴戦の隊員も、この時ばかりは焦りを見せていた。

 なにせ、地下鉄から突然モンスターが出たなど、初めての事だったからだ。

 地下鉄はテロ対策は万全だったが、モンスターの襲撃は想定していなかったため、乗客と乗務員は駅の外へ慌てて逃げていった。

 そうこうしているうちに、黒いオークモドキが盾を構える機動隊の前に現れた。


「潰す……憎い……」


「も、モンスターが喋った!?」


「一体どういうことだ!?」


 一般的に、モンスターは他の動物同様、話す知能は持っていない。

 だが、機動隊の目の前にいる黒き怪物は、明らかに言葉を発していた、それも恨みのような言葉を。


「憎い……社会が……俺は……潰す……潰す!!」


 オークのような何かは、機動隊に突撃を開始した。

 機動隊は、盾を構え、攻撃を受け止める準備を開始する。


「冒険者は、自衛隊はまだ来ないのか!?」


「とりあえずここを一歩たりとも通すな!」


 機動隊員達は中の議員達を守るために、覚悟を決めた。

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