第六十四話 入りたい! やっぱり怖い!

「よし! じゃあ叔父さん先に居間で待ってるから! 2人の時間を年寄りが水を差すのも良くないからね!」


 叔父さんは元の笑顔に戻り、「空気を読んで」奥へと行った。


「……なんだよ、暴漢に襲われたって」


「いいじゃないか、実際あの時オークから私を助けたお前は、本当にかっこよかったぞ?」


「……そうかよ!」


 シェダルが表裏の無い笑顔で俺を褒めるので、俺は思わず下を向いた。

 男を褒めるのが上手すぎだろこいつ……嬉しいけど。


「ほらほら、怪我してるんだから……風呂まで運んでやる」


 シェダルは再び俺の肩を掴んで運び出す。

 だが俺は言葉に甘えず、その手を振りほどいた。


「一人で歩けるよ! つーか風呂は一人で入るよ!」


「いいから遠慮すんな、今日は頑張ったご褒美に背中を流してやる」


「お、おう……」


 シェダルは俺を抱えて風呂場へと連行する。

 下心満載の欲望を押し殺して、俺は「仕方なく」シェダルの好意を受け止めることにした。


「それに! またアレが出たら……」


「……」


 お前それが本音だろ!

 どんだけナメクジ嫌いなんだよ……


「バイクスキル、お前はあんなことを言っていたが、私的には楽しかったから、機会があればまた使いたいな!」


「いやもう……勘弁してくれ……」


 次使ったらダンジョンがゲロまみれになるかもしれない。

 っていうか乗る方はそりゃ楽しいだろうよ! 乗られる方はほんと……お馬さんごっこされている親兄弟の気持ちがよく分かった、めちゃくちゃつらい。


「んじゃあ、私が使おう! それならいいだろ!」


「いやいや! さすがに女の子に使わせるのは……」


 俺がシェダルに跨っていいように操作するなんて……

 想像するといやらしい感じだ。


「恥ずかしがるなって!」


 シェダルは笑いながら俺の背中を叩いた。


「いって!」


「あははは! 顔真っ赤じゃないか! 本当に面白い奴だなお前は!」


「お前なぁ……」


 まぁいいや、とりあえず汗を流そう……。

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