第六十二話 切り裂きすぎる! 鍵屋に戻る

 すると突然、シェダルの後ろからモンスターが出てきた!


「危ない!」


「ん?」


 俺は咄嗟にシェダルの体を引っ張り、間一髪で攻撃を避けた。

 俺がクッション代わりになり、シェダルは無傷で済んだようだが……俺は盛大に脚を擦った……だが、些細な問題だ。


「野郎……」


 俺は剣スキルに変身し、戦いを始める。

 相手は剣を装備したオーク。

 内心、今の俺にできるか不安だった。

 ……だが、シェダルは言っていた、今の俺ならできる! そんな気がする!


「行くぜ!」


 剣を振り、オークに攻撃する。

 戦いながら、シェダルに言われていたことを思い出した。

 そうだ、いつまでも脳死で剣を振っていてもしょうがない、隙を見ろ……隙を!

 すると、オークは剣を思いっきり振りかぶって、俺の頭上目掛けて振り下ろそうとしていた。


「今だ!」


 俺はオークの脇腹を狙い、そのまま切り裂いた。

 オークは怯み、傷口を抑えていた。


「このまま必殺技だ!」


 俺は鍵を操作した。


『剣スキル! 切り裂きすぎフィニッシュ!』


 音声と共に、俺は剣を振り下ろし、オークを真っ二つにした。

 そして多くの体の真ん中から噴水の如く、緋色の生暖かい水が噴き出した。


「うひゃー……エグいな」


 自分でやったことだが、やはり自分でやると毎回こんな感想を抱いてしまう。

 そろそろ慣れよう……。


「よくやったな! 昇! 偉いぞ!」


「お、おい! だから抱き着くなって!」


 シェダルは俺の血まみれの甲冑目掛けて抱き着いてきた。


シェダルの銀色のコートが、オークの血で汚されていた。


褒められるのは……嬉しいけど。


「さ、回収して、今日はこの辺で帰ろう! 卓郎さんが心配する」


「お、おう!」


 シェダルは収納スキルで遺体を回収した後、転移スキルに変身し、ワープホールを出した。

 俺は剣スキルの鍵を外した。


「……なんだ? いつもは嫌だのなんだの言うのに」


「いやなんか……バイクスキルがやばすぎて、相対的にマシに思える……」


「そうか! なら問題ないな!」


 何が問題ないだよ……


「お前……こっちは毎回吐きそうに……」


「さぁほら行くぞ!」


「うわぁ!?」


 シェダルに引っ張られて、俺たちは鍵屋に戻った。

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