鍵スキル、ダンジョンに潜る~無能な鍵使いの俺、合法ロリと陰謀を解き明かす~

立風館幻夢

第一章 ダンジョン探索、力手に入る

プロローグ 鍵スキル、無能スキル!?

「スキル」、それは個人個人が向いている職業、技能を選別したもの。


 例えば、俳優という職業には、主に「演技スキル」を持つものがやり、教師という職業は主に「指導スキル」やその他、「数学スキル」「社会科スキル」など、科目のスキルを持つものがやる。



 日本にこの「スキル」という概念が持ち込まれたのはおよそ5年前、きっかけは太平洋のど真ん中に「ウトピア」と呼ばれる、巨大な大陸国家の出現、それと同時に世界各地で起こった「ダンジョン」(日本語では迷宮とも呼ばれる)の出現だった。


 突然の出来事に世界中が大混乱に陥った、勿論、それは日本も例外ではない、政府は全国に緊急事態宣言を発令、スーパーやコンビニの棚が瞬く間に空になったり、暴動が起きて、各地で機動隊が出動する事態となった。


 混乱の中、世界中でダンジョン探索が始まった、ダンジョンの中には今まで確認されていない生物が多数確認された、世界はそれを『モンスター』(日本語では怪物とも言われる)と呼び、人類の新たな脅威となった、ある国では、軍隊がダンジョンに突撃し、一小隊が壊滅状態になった、という事態も起きたらしい。


 そんな時、ウトピアは、「我が国は地球の各国に危害を加えるつもりはなく、あなた方の仲間の1人に入れてほしい、その証明として、ダンジョン攻略のために軍事協力する。」と表明、大国の1つがその受け入れを決めたことを皮切りに、世界各国にウトピアの軍隊が出向いた……その結果、世界は徐々に落ち着きを取り戻し始めた。


 ウトピアは魔法や未知の武器による軍事力と、ダンジョンのモンスターたちから出てくる資源、そして石油などの天然資源により経済発展を遂げ、世界でも指折りの大国となり、既存の大国たちからは悩みの種へとなっていった。


 世界各国は、軍事力や資源以外で、ウトピアがなぜ大国になったのか研究した。


 調査の結果、ウトピアは「スキル社会」と呼ばれる、スキルとレベルによって優劣を決める社会性を導入していたのだ。


 当時の学者や研究者は、「そんなゲームみたいな社会で成り立つわけがない」と未知の社会に否定的な意見が多かった。


そんな意見がある中で、発展途上国を中心にスキル社会を導入し、急成長を遂げ始めた、大国たちは焦りはじめ、次々とスキル社会を導入した。


 そして、日本もその波に飲まれた、ということだ。


 ……そして、俺、「金剛 昇こんごう のぼる」のスキルは何なのかというと、「鍵スキル」だ、意味が分からないだろ? 俺もそう思う。


 俺はこの社会が導入される前、有名な政治家の息子としてもてはやされたものだ。


 親からは常に「お前は跡を継ぐ存在だ、お前は周りの子どもたちとは違う」そうい言われて育てられた。


 そんで、スキル社会が導入された時、政治家だった父親はスキル社会では再び政界に立つのは不可能だと悲観し自殺、母親も後を追うように病死しちまった。


 俺は叔父に引き取られ、学校では鍵スキルであることを馬鹿にされ始めた、しかもこのスキルのせいで、俺はレベルが全く上がらず常にレベル1だ。


 レベルが上がる条件は「善行を積むこと」「ダンジョンのモンスターを倒すこと」「世の中の役に立つこと」だった。


 鍵スキルでこれらの条件をどう満たせばいいのか? これでできることと言えば、鍵の構造が分かることぐらいだ。


 即ち、泥棒か鍵職人にしかなれない、政治家からかなりランクダウンしている。

 俺はそんなことをコンプレックスに持ちながらも、頑張って生きていった。

 ……ある意味では、今まで調子に乗っていた分が返ってきた、というべきことかもしれない。


 そんなこんなで俺は、今日も抜け殻のように高校へ行く。

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