XVIII.寝て起きて逃げたら落ちちゃった
最果ての草原———
ゾーノは散乱しているモンスターの死体を集めていた。しかも、状態や種類をそれぞれ分けてまとめている。
モンスターの仕分けが終わると荒れ果てた草原の地面を
「これだけ派手にやっといて人間の死体は焼骨しかねえのか。これだけ地面割っといて
そんなこと呟きながらイリが開けた地割れを埋めていた。
最果ての森手前———
「そっか、君みたいな子供にあんな芸当ができないと思いたいが、仕方ない。危険な芽は早めに摘んでおかないといけないな」
ラオはそう言ってイリの首筋に刃を振るった。
パキン——————
逢兎が咄嗟にラオの刀を踏んで刀身を折った。ラオは折れた刀身を見て目を見開いた。
「名前知らないからクズ野郎って呼ぶけどいいよね? おまえはいまこども一人殺そうとしてたんだぞ」
逢兎はどこかドスの利いた声で言った。
「これも依頼だ。お前は冒険者ギルドに来なかったが、Dか? いや、Dランクごときに俺の刀を止められるはずがないよな。お前何者だ?」
ラオは逢兎の目を睨みつけて言う。
「ランクはたしかCだよ。まあ、自由に行動しても良いって言われてるし俺に招集は来ないよ」
「へー、どんな大金貢げばそんなの貰えんだ? Cランクで自由なんざ聞いたことねえよ」
ラオは折れた刀の先を逢兎に向けて聞いた。
「『
逢兎はラオを縛り付けて言った。
「これは、精霊魔法⁉ 何で人間が精霊魔法を使えてんだよ。それに、鑑定妨害を見抜くってことは鑑定持ちか」
「もう戦う気力ないし置いて行くね。頑張って抜け出してね」
そう言って逢兎らは街に向かった。
最果ての草原———
ゾーノが草原を整備しているところに逢兎達が歩いてきた。
「確かアイトだっけか?
ゾーノ 人間
称号:over Zランク冒険者
魔法:全属性魔法 全効能魔法
スキル:各種妨害
耐性:全種攻撃耐性
「妨害使わなくていいの?」
「鑑定持ちか。珍しいな」
「そんな珍しいの? でもみんな知ってるからそんなマイナーじゃないでしょ?」
「ああ、別の世界から来たものは全員持っているようだが、この世界で生まれたものが取得できるのは稀だぞ。お前そんなも知らないのか?」
「そーなんだ。じゃあ俺はこの世界では珍しい部類なのか。じゃあ、また会うことがあったらよろしく?」
逢兎はそう言って街に向かった。
ゾーノは仕分けたモンスターを引きずって付いて行く。
果最国-爆天州———
ロノスはゾーノが大量のモンスターを引っ張ってくるのを見て街の前まで迎えに行く事にした。
「ゾーノ君それは?」
帰って来たゾーノに対してロノスはモンスターの山を見て行った。
「草原に転がってたやつらだけど。大体の等級で分けたつもりだから」
「そうか。これだけ査定するのは大変だぞ。そもそも解体にどれだけ時間がかかるんだか」
ロノスが頭を抱える。
「できるかわかんないけどやってみようか?」
横から話を盗み聞きしていた逢兎が言った。
「お前解体とかできるのか?」
ゾーノが逢兎に目を向けて聞く。
「できるかわかんないって言ったよね? 確証はないけど、もしかしたらすぐ終わるかもしれないよ? そんな事よりこの街って病院とかある? イリの腕がめっちゃバキバキのボキでグチャグチャのバコだからさ」
ロノスもゾーノも目が点になる。
「よく分からないけど、取り敢えず冒険者ギルドで診てみようか」
ロノスは整理を付けながらそう言った。
「アイト兄ちゃん、僕もう疲れたよ」
そう言ってイリはその場で気絶するかのように眠りついた。
「ちょ、イリさん?ここで寝られても俺担げないんだけど?」
逢兎はルナとイリをきょろきょろしながらそう言う。
「ったく、ちゃんと面倒くらい見ろよ」
ゾーノはそう言ってイリを抱え上げた。
「え?」
「持てないんだろ。ギルドにくらいなら連れてってやるよ。どうせこいつらここに置いて行くしかないだろうし」
ゾーノはモンスターの山を指して言った。
「そっか。じゃあよろしく」
「ああ」
冒険者ギルド———
リーノは臨時の依頼の報酬の準備を忙しなくしていた。
「リーノさん大丈夫ですか?」
たまたま冒険者ギルドに戻って来た冒険者がリーノが忙しなく動いているのを見て声をかけた。
「いえ、大丈夫です」
リーノはそう言いながらずっと作業をしている。冒険者はその様子を見て空いてる席に座ることしかできなくなってしまった。
ロノス達が冒険者ギルドに戻ってくるとリーノは急いでカウンターから出てきた。
「ロノスさん申し訳ありません。査定の準備がまだ整っていないのですが」
「それに関しては後にしよう。取り敢えず医師はいるか?」
「まもなくいらっしゃる筈です」
「そうか。なら屋外査定用の準備をしておいてくれ。数が多すぎて置いてきたので外でして貰う事にする。人員も集めておいてくれ」
「はい!」
リーノはすぐに連絡を取りながら書類をまとめ始めた。
「アイトは何で冒険者になったんだ?」
「なんだよ急に」
ゾーノと逢兎はイリとルナをソファーに寝かせて近くの席に座って話していた。
「別に訳なんてないけどさ、連れが気になっただけだ。
「まー、なった理由はただの憧れみたいなやつだけど、二人を連れてるのは…まあ、形式だけで言えば奴隷?だけど仲間だよ」
「奴隷か。そうは見えないけどあの手の模様が証拠か。お前変わってるな」
「そうだね。力の解放のために奴隷にしたのと奴隷紋消すために奴隷にしただけだから別に普通の仲間だよ?」
「なるほどな」
話がひと段落したところで医師が来た。
「お待たせしました。診るべき方はいますか?」
「こっちの二人をお願いします。獣人の娘は腕ボロボロだから気を付けて」
医師はイリとルナの様子を診た。
「なるほど、
医師は二人の容態を逢兎に伝えた。
「S級か。分かった」
そう言って逢兎はイリの傍に寄った。
「俺が治してやるよ。『
少し形がおかしかったイリの腕が元に戻った。
イリの腕が戻ると逢兎は眠るように倒れた。
「イリの状態異常直ってるからこれで大丈夫そうだな。てか、俺も疲れた死寝る」
そう言って逢兎は眠った。
三人は翌朝まで冒険者ギルドの一角で眠っていた。起きると三人ともすごい勢いで食事を食べていた。
「イリそろそろ
「いいよ。昨日みたいなことなりたくないから」
「ルナは他にしたいことある?」
「いえ、大丈夫です」
「そっか。じゃあこれ食べたら行こっか」
「うん」「はい」
最果ての迷宮-エントランス———
「途中から行くのってあそこの機械に乗ればいいんだっけ?」
「えっとー、あの魔具に魔力を流せば置いてきたチップの場所に飛ばしてくれるはずですよ」
「じゃあ行こうか」
「うん」
三人は一人ずつ別の魔具の乗って魔力を流し込んだ。しかし、なかなか魔具が動作しない。その間に他の魔具で三人ほど下りて行った。
三人の魔具がやっと動いき、三人は白い光に包まれて飛ばされた。
最果ての迷宮-?階層———
三人は見たことも無いくらい所に飛ばされた。まわりはある程度見れるが、あまり広くは見えない。
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