第3話女パート:女友達の話


『ねえ雫、本当に結婚するの?』


「え、そうだよ」


 久しぶりに女友達から電話がかかって来た。

 高校以来の友達だが社会人になってからはあまり会っていない。


『雫が結婚かぁ、よく結婚なんかする気になったじゃん』


「そりゃぁ私も二十六になるもん、そろそろ良いかなって」


 雫がそう言うと電話の向こうの女友達は少しトーンが下がって言う。


『そりゃ、そうだけどさ。なに、その彼氏って結構いい年収なの?』


「それほどではないけど、二人でならやっていけるかなって」


『ええっ!? 結婚しても働くつもり? マジで??』


 その言葉に何となく引っ掛かりを感じながらも雫は言う。


「そりゃぁ将来のこと考えれば仕事は続けたいわよ。私もしっかり稼いで家計も助けなきゃ」


『何それ、女一人養えない男なんてダメじゃん!』


 雫はその言葉にムッとするも、きわめて大人対応をする。


「それでも彼はいい人よ? だから私は彼と結婚するの」


『ふぅ~ん、雫くらい可愛ければもっといい男捕まえられそうなものなのに。ねぇねぇ、実はさうちの事務の子たちと今度合コンするんだけど、面子が足らないのよ。雫来ない?』


 それを聞いて雫は大きくため息を吐く。


「行かないわよ。私には彼がいるんだもん」


『何言ってんのよ、結婚前なんだから別に構わないじゃん。それに今ならもっといい条件の男が見つかるかもよ?』


「遠慮しておく。あ、ちょっと用事が有るからまたね。ばいばい」


『ん、仕方ないなぁ。じゃあね~』


 ぴっ!


 携帯電話の通信を切ってその携帯電話をベッドのクッションに投げつける。


「あ~っ、もうっ!!」


 雫は投げつけた携帯電話をそのままにテーブルの上に置いてあるツーショットの写真に目を向ける。


「浮気なんてしないよ、私……」



 そう言って携帯電話を拾い上げ、青柳清太にメッセージを送るのだった。


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