第78話『たみ子からの電話』

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記


078『たみ子からの電話』   






「もしもし、たみ子ぉ?」


『え、なんでぇ?』


「え、あああ……なんとなく、たみ子の感じがして(;'∀')」


 ディスプレーには(辻本たみ子)と出ていたので、ついスマホのつもりで出てしまった。

 お祖母ちゃんが、昭和からかかってくる電話は、わたしのスマホにかかるようにしてくれたんだ。

 昭和にはスマホも携帯電話も無いんだ、たみ子は昭和のわたしんちの固定電話にかけたつもりでいる。


『え、すごい勘!』


「アハハ、学校の住所録見てたらさ、あ、三学期も終わり近いから、ちょっとね整理の真似事してて、ちょうどたみ子のとこらへん見てたしぃ(^_^;)」


『そうなんだぁ、なんかドラマみたいだねぇ(^〇^)』


「アハハ……あ、それでぇ?」


『じつはね、ひい祖父ちゃんが亡くなってね、お葬式に行かなくちゃならなくて』


「え、あ、それはご愁傷様ぁ……」


『それでね、明日の代議会代わりに出てもらえないかなって』


「あ、うん、かまわないけど、高峰君(委員長)居るんじゃないの?」


 代議会は正副委員長のいずれかが出ればいいはずだ。


『ああ……実はね、ナイショってほどじゃないんだけど、高峰君は従兄でね……』


「ええ、そうなんだ( ゚Д゚)!?」


 学年の初めから二人は微妙に近しかった。副委員長引き受ける時も、なんか親し気に声かけてたし。


『それで、二人とも出られないから。それに、今年度最後の代議会だと思うから』


「あ、うん、任しといて。先生には言っとこうか?」


『ありがとう、でも、朝に学校に電話するから』


「あ、そうか、じゃあ、ええと……お疲れとか出ませんように」


『うん、ありがとう、じゃ、お願いします』



 お葬式にいく友だちに「お疲れとか出ませんように」ってしめくくりで良かったのかなあと迷いながら電話を切る。

 これが令和だったら、ラインとかメールとかで、顔文字とかデコレーションとか付けて雰囲気出すんだけどね、声だけで伝えるって友だち相手でも、ちょっと緊張。


「ねえ、この恵方巻どうだろ?」


 お祖母ちゃんが新聞のチラシをヒラヒラさせる。


「あ、大浜の磯寿司!」


 磯寿司は、ここいらでは一番のお寿司屋。


 でも、名前の通り、店は大浜にあって、電車か車、この季節だから自転車というのは勘弁してほしい。


 どうするのかと思ったら、タキさんの『志忠屋』に出かけて、みんなで節分することになった。




☆彡 主な登場人物

時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生

時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女

滝川                志忠屋のマスター

ペコさん              志忠屋のバイト

猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)

宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート

辻本 たみ子            1年5組 副委員長

高峰 秀夫             1年5組 委員長

吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部

横田 真知子            1年5組 リベラル系女子

加藤 高明(10円男)       留年してる同級生

藤田 勲              1年5組の担任

先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  教頭先生

須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹        

その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部)

灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  

  

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