第4話
許昭軍が来た。盟を守ってくれたか。
「許昭殿、良く来てくれた」
「少し遅かったようだな。遅れてしまったことを謝罪する」
まあ一日で撃退しちゃったんだし、遅れるよね。
「いや、虞翻を遣わした時点で遅かったんだ。謝る必要はない。それと、虞翻。良く説得してくれた。これからも頼む」
「ありがたきお言葉」
虞翻は泣いていた。軍略を聞いてくれる主。知将にとっては重要だよね。
これからは、俺の軍師になって貰おう。
王朗の部下だけど、引き抜いてもいいよね?
「さて、息つく暇はないぞ。次は、孫策本陣が来るだろう。何万人の軍勢かも分からない」
「それについて一言。袁術が、背後を狙っております。同盟を組むべきです」
虞翻からだった。
少し、三国志演義を思い出す。
丹陽に袁胤がいるが、脆弱過ぎる。そして、袁術は衰退するのが決まっている。
頼るなら、まだ兵士が多い劉勲だろうな~。
「虞翻……。劉勲と友好協力相互援助条約を結んで来い」
「はっ? 袁術ではなく、劉勲?」
「互いの土地が攻められたら、援軍を出す条約だ」
「……承知しました」
詳細は、虞翻に任せよう。知力と政治が高かったはずだ。魅力は低かったかな? 少し準備をした後、虞翻が再び飛び出して行く。成功したら、高い地位を確約しないとな。
それと陳瑀と王朗は、忠誠を誓ってくれた。俺の武力と王威に感服したんだとか。
まあ、城を取ったら最優先で彼等を太守にするのがいいだろう。
一族の再興もある。それくらいの度量は見せなければならない。
「密偵を放て。情報を集めろ」「はっ!」
味方の兵士は、多く見積もって一万人くらいしかいない。
孫策は、十万人くらいだろう。
「その為には、練兵だな。厳しく行くか」
それと陳瑀と王朗には、武器の増産と兵糧の確保を命じた。彼等の部下もいる。
今は従うはずだ。彼等が生き延びるためには、俺が孫策を倒すのが最短だしな。
後すること……。俺は王威を城中に見せつけて、士気を上げるか。城中の視察を行う。皆震えて敬礼してくれた。
いいね、いいね。風紀がピリリと引き締まった感じだ。
「ふっ。雑用は部下に任せて、士気を上げるのが、王の責務だよな」――キラン
厳輿は、絶句していた。
◇
「なに? 孫策自らが軍を率いて来ただと?」
「はい。旗は、孫策のモノでした」
ようやく俺を、脅威と認めたか。正直頭悪いな。遅すぎる。
あれだけ、武威を見せつけたというのに。
「兄者! 武器防具、矢の補充は終わったぞ。練兵も、命令通りには動くようになっている。強兵まではいかないが。投石具も十分だ」
「よくやった」
厳輿は驚いている。
城壁に登って、旗を見る。
「周瑜、魯粛、太史慈、韓当、宋謙、黄蓋……その他。戦力を集中させて来たか。流石と誉めてやろう」
冷汗が止まりませんって。あれとはまともに戦えないな……。
正直羨ましい。孫策よ……。俺は、お前に転生したかったぞ。
「兄者! 十万の兵力だぞ? こちらの十倍だ! どう戦うんだ?」
「ふっ。案ずるな。策はすでに打ってある」
部下の全員が唖然としていた。
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