転生を回避した俺が人を助ける仕事に就いた
HYスタイル
第1話 自業自得
ついに家から追い出された
「こういうのて本当にあるのかよ・・・」
ここは都内某所
築50年以上たったであろうアパートの一室玄関前に張られた紙切れ1枚を読みながら無謀な夢を追いかけ、そして今その夢が完全に挫折した
「退去通告か・・・。マジでか・・・。」
あれだけ迷惑行為をしていれば当たり前といえば当たり前。
話は3年前・・大学卒業後に地元の中小企業で働いていた時までさかのぼる
「こ・・・こんなので金が稼げる時代なのかよ!?こんな田舎で働いている俺はバカみたいじゃないか!?」
範人が見ていたのはとある動画サイト。車をただ壊していたり、スライムを被るだけでお金を稼いでいた人たちの動画だ。
そんな動画でお金を稼げるのを知った範人は退職届を出していた。
「母ちゃん!!俺ビックになるから!!」
実家にはその置手紙だけをして夢が咲き誇る街 東京に来たのだった。
・・・動画投稿だけだったら地元でも出来たのでは??
そんな疑問は今となっては後の祭りである。
話を退去通告が来る半年前まで戻そう。
「なんで伸びないんだよ・・・」
浅はかな考えと勢いだけで東京にやってきた範人が動画投稿でうまくいくはずもなく時間だけが過ぎていった。
動画内容は【激辛インスタント麺を10秒で食べてみた】【鼻から炭酸水飲んでみた】などなど。それは伸びるはずもなく・・・しかし伸びているものもあった。
「奇声系は5000再生くらいしてるんだよな。」
その動画は【発狂しながら地下街を激走してみた。】という動画だった。
頭の上にスマートフォンをつけて近くの駅の地下街を大声出しながら走っている簡単な動画だ。
「有名になるためなら仕方がないよな。」
仕方ないから始まった、その先は地獄であった。
投稿した動画すべてが奇声系。場所も時間も考えずとりあえず叫びながら何かをする動画ばかりを投稿したのだった。
その結果が・・・・ 退 去 通 告
近隣からのクレームが限界突破した。
「マジか・・・マジか・・・。」
家を追い出された範人はボソボソとつぶやきながら道を歩くしかなかった。
手元にあるのは動画撮影・編集用のスマートフォンと財布
財布の中身は現金数千円と中身のないキャッシュカードと免許証のみである。
どちらにしても動画投稿生活は限界だったのだ。
~1週間後~
鵜方 範人は近くの児童公園で段ボールを被っていた。
ホームレス生活である。
半年間、叫ぶだけの生活をしていた範人には何かを考える余裕と体力と知識がない。
ご飯もろくに食べずにやつれていった。
「母ちゃんになんて顔をして帰れば・・・。」
範人は情けない姿のまま帰りたくはなかったのだ。
「どちらにしても今の手持ちじゃ帰れないな・・・。」
数枚の野口さんが入った財布を見ながら涙が頬を伝う。
どこで人生を間違えたんだ・・・と。
人間、栄養が取れなくなると角膜からやられていくようだ。
公衆トイレの鏡を見ると目の白色ぶぶが赤く染まっていた。
そして、この1週間あることに気づいた。
近所の人から「奇声の人」と煙たがれていたことだ。
人間窮地に陥ると嫌なことしか聞こえなくなる。
公園に来た子供と親が「大声の人が寝ている」「ダメよ!近寄っちゃ!」とテンプレートな会話をしてるのを幾度も聞いたのだった。
「あの~すみません。」見鏡で顔を見ていた範人に後ろから声がかかる。
「え?」
振り返ると緑の服を着た作業員がいた。
「あの、ごめんなさいね。何があったがわからないけど、ここに居座られると困るんだよね。子供たちが遊べなくなる。」
区の作業員だった。
「え、あ・・・はい」それくらいしか返せなかった。
夢を破れ 家を追い出され 公園から追い出された
「辛い・・・。辛いよ・・・。誰もが俺を見捨てていく。」
栄養不足は生きる力を失わせる。自業自得とわかってるから尚更つらい。
暗い夜道を歩きながら空を見上げた。
「あっ・・・」
月の光とともに歩道橋が目に入った。
「26年間の人生早かったな。」
そういいながら歩道橋に上り空を眺め車道を見た。
「あれで終わりにしよう。」
もうすぐ歩道橋に差し掛かるであろう黒の作業用のワンボックス車が目に入った。
「1・2・3ッ」
飛んだ瞬間意識が遠のいた。
「あーあ。おわちまったな。」心の中で思う
(なーにが。おわちまっただ!?こっちが終わるところだったぞ。)
誰かの声が聞こえる。
「え、誰ですか?」
(誰て・・・かmぃのて者だが。)
意識が薄れてよく聞こえなかった。
かmのもの・・・・神の者!?
もしかしてこれが俗に言う転生の世界というものか!?
「俺は一体どうなってしまうんですか!?」神に聞いた。
(どうなるて?お前はどうなりたいんだ!?)
「もう一度人生をやり直したいです!ここじゃない楽しい世界で!」
(人生やり直し?ここじゃない所だと?兄ちゃん訳ありだな。)
「もう一度、別の世界でチャンスが欲しいんです。」
(じゃあ俺が面白い場所に連れて行ってやろ!)
「は、はいぃ」言った瞬間身体に激痛が走った。
(お、おい!お前、手当てしてや・・・・)
そこまで聞こえて・・・鵜方 範人 26年間の人生に幕を閉じたのであった。
転生を回避した俺が人を助ける仕事に就いた HYスタイル @HYstyle
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