【VRMMO×クラフト×領地経営】Virtual Life Stories~この世界での強さとは、すなわち人の数である~【実況プレイ】

@YA07

プロローグ



「やりたい‼」

「…………急にどうしたんですか?」


 とある日の放課後。メイの呼び出しでVRワールドのプライベートルームで落ち合ったメイとチトは、そんなメイの突拍子もない言葉から話を始めていた。


「これ!じゃじゃーん、Virtual Life Stories 3!」

「?」

「知らないの?VLS3。これね、駅前に新しくできた大人気チェーン店のカフェ」

「その名前でよくチェーン展開できましたね」

「そりゃもう。コーヒーセットが…………千八百円」

「高いですねえ」

「でもあれだよ?お味噌汁とか付いてくるよ?」

「汁に汁?」

「~おいしいコーヒーを飲んでほしいという気持ちを込めて~」

「味噌汁に!?せめてコーヒーの方に込めてくださいよ…………って、そうじゃなくてなんでVLSなんです?」


 Virtual Life Stories。それは、今や知らぬ者はいないとまで言われているフルダイブ型VRゲームの超大作シリーズだ。ジャンルは一味変わったMMOを謳っており、ゲーム配信界隈では特に盛り上がるゲームとして名が売れていた。


「やっぱりほら、ゲーム配信者としては流行には乗っておかなきゃじゃない?」

「でもメイさんこの前もうVLSはやらないって言ってましたよね?」

「いやーほら、やっぱりVLSやりたいなーって気持ちがこう…………喉元まで」

「まだ出てはないんですね」


 などと二人がくだらない話を繰り広げていると、メイに呼び出されていたもう一人がその部屋へと入ってきた。


「おいすー」

「リーンちゃんおはよう!」

「おはようございます」

「いやー。寝坊しちった」

「ちったか」

「ちった?」


 そんな挨拶と共に部屋へと入ってきたリーンは、メイの頭上に浮かぶVLS3のタイトルロゴを見て、わざとらしく驚いた表情を見せた。


「およよー?VLSやるの?」

「やるよ!めっちゃやる」

「めっちゃってどのくらいー?」

「うーん…………目指すは駅前出店!」

「大人気チェーン店!」

「チェーン店?何か出すの?」


 話の流れがわからず、探りを入れるように話を聞くリーン。

 とはいえその程度では一度ボケだしたメイが止まるわけもなく、メイはリーンを置き去りに矢継ぎ早に口を動かしていった。


「看板メニューが、味噌汁セット五百円ね」

「そっち残しちゃったんですか!?」

「あ、もちろん残ってるよ?おいしいコーヒーを飲んでほしいというキムチも」

「発祥は韓国!味噌汁にもコーヒーにもキムチ合わないですよ」

「あー、やっぱり気持ち残しといたほうが良かったかー」

「気持ちよりはキムチですけど!それよりコーヒー出せって話です」

「コーヒーはあちらでセルフサービスとなっておりまーす」

「気持ち忘れてる!どこ行っちゃったんですかおいしいコーヒーを届けたいという気持ちは!」

「??」


 笑いあう二人と、全くついて行けないリーン。

 リーンはそんな二人に対して、少し拗ねたようにその笑い声を断ち切った。


「結局VLSやるって話なの?配信で?」

「あ、そうそう。やっぱりVLSやりたいなーって気持ちが…………やりたい‼」

「うわっ…………急に叫ばないでくださいよ」

「ごめんごめん。VLSやりたい気持ちが抑えられなくって」

「喉から出ます?気持ちって」

「あ、チトちゃんはキムチの方がいいんだっけ?」

「気持ちでいいです」

「じゃあウチお餅」

「おもっ…………ゴホゲホッ‼」

「お餅喉に詰まっちゃった!」


 笑いあう三人。

 ひとしきり笑い終えると、メイが改めて話を切り出した。


「それで、二人にも一緒にやってほしいんだけど…………」

「ウチはへーき」

「私も大丈夫です」

「よかったー。実はもう三人分買っちゃってて」

「最初からやる気溢れまくりじゃないですか」

「でへへ」


 そんなこんなで、三人はVLS3の世界へと足を踏み入れることになったのだった。


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