双子の妹が私に赤スパ投げてたんだが〜妹もVになるとか聞いてない〜

タカメイノズク

バトル開始!妹このままじゃ破滅編

第1話身バレどころの話じゃない

スパチャ

それは最たる表現!

スパチャ

それは推しへの感謝!!

スパチャ

そしてそれは愛の証!!!


「画面よし、マイクよし、ラグよし、それじゃあ後は配信ボタンを押して...」


毎回毎回この瞬間は緊張する。普通の大学生傘谷白から人気配信者雪風はくあへ自分を切り替えるこの瞬間はまさに変身と表現されるべきことだと傘谷白は思っていた。

確認用のモニターに映し出される私の分身は私の表情に合わせてニコッと笑う、うん我ながら可愛い。

私が最近あった身の上話をしてそれにリスナー達がコメントする、所謂雑談配信を私はしている。


スパッ


「『黒羽』今日も元気なはーたんの姿見れて嬉し〜お小遣いです是非使ってくだい!!(¥30000)」

「くろはねさんありがとー!!3万円何に使おうかな?自分へのご褒美にゲームでも買っちゃおうかな?」


今来たのはスーパーチャット略してスパチャ、私が配信している動画サイト「ITUBE」の課金機能で私たち配信者にとってはメインの収入源とも言えるものである。

自分のコメントにお金を乗せて配信者に直接渡せる。ファンからしたら夢のような機能だと思う、グッズ買うという回りくどい方法ではなくもう直接本人に金を渡せるのだ。

そして手数料としてスパチャの30%がITUBE側に持って行けるのでITUBEからしても嬉しい。


配信者、リスナー、ITUBE3者全てが幸せ、つまりWINーWINーWINな最高のシステムなシステムである。

ただあくまでそれは雪風はくあとしての考えである、完全な私個人傘谷白としてはこのスパチャ、特にその中でも10000円以上払うと表示される赤スパはあまり好きでは無い、もちろんだからと言って廃止しろとは言わないしそれで多くの配信者の生活が成り立っていことも重々承知している。かく言う私もそのひとりであり赤スパがなければ生きていけないというのもわかっている。家族は母と父と私と双子の妹ともう1人、高校生の妹がいて私も妹も大学に入ってるため学費が馬鹿にならない、さらに母と父はよく出張に行くので生活費が枯渇しやすい、私が配信者になるまではほんとに地獄みたいな生活だった...でも、いやだからこそ目に見える対価なしにお金を渡すスパチャという行為が私にはあまり理解できないのかもしれない、もし妹がスパチャ、それも赤スパなんてしてたら私はすごい勢いで止める自信がある。まあ私妹2人は両方学校の成績もいいし態度も真面目らしいしそんなふたり、特に双子の妹傘谷黒に限ってそんなことはないなと思った。

彼女は生まれながらの才色兼備、お嬢様でもないのにお嬢様感溢れるその雰囲気は同じ顔の私とは大違いだ。

私はどちらかと言うと元気で明るいタイプだと思う。

多分黒はスパチャなんて言う機能があることすら知らないと思う。


「あっそろそろ夜食食べようかなちょっとカップラーメンとってくる」


私はいい感じにお腹空いてきたので夜食としてカップラーメンを取りにリビングへ向かうちなみにコメント欄では

太るぞだの女子力皆無だのなんだの言われていたが関係ない私はお腹が空いたのだ、そしてカップラーメンはとてもコスパがいい。



〜***〜



カップラーメンを食べる為にリビングの壁にある備え付けの棚を開こうとした後ろから方をつんつんと叩かれる


「お姉ちゃんはカップラーメン何食べるの?」


後ろからの声は私の妹傘谷黒だった。時間はもう既に午前1時を回り始めた頃黒は眠そうに目を擦りながらわたしの方を見つめてくる。


「んっ極姉塩食べるけどそっちもラーメン食べるの?」

「えへへ私もラーメン食べたくて、極妹味噌がいいかな〜」


眠そうにしながら黒はニヤニヤと笑っている可愛いかよ

その後私は棚を開き3段ある棚から3段目を開き極姉塩と極妹味噌を取る、(ちなみに1段目には箱ティッシュが大量に詰まってて2段目には何故か工具がいっぱいある)

私は2人分のカップラーメンにお湯を注ぐ、本来ならラーメン食べながら配信しようと思っていたがせっかく妹と二人きりだ2人で食べるのもたまには乙かな、リスナー達よごめん、かなり長いこと放置することになるけど許してくれ...


「黒、せっかくだから一緒に食べない?」


私は黒に提案を持ちかける、しかし意外な言葉が帰ってきた


「いや、だいっじょうぶ、お姉ちゃんとなんて恐れ多いしそんな抜けがけダメだし、とにかく今は1人で食べたい気分だから!!」


そいうと黒はものすごい勢いで階段を駆け上がって行った。


「恐れ多いってなんなのさほんと抜けがけって誰と競走してるんだ...」


私...黒に嫌われてるのかな...結局私も部屋で配信しながら食べることにした


「『きら☆りん』何味食べてるんですか?(¥1000)」

「1000円払うほど気になるか笑、地獄家族シリーズの極姉塩だよ」

「『黒羽』私今極妹味噌食べてます!(¥10000)」

「んも〜わざわざ1万円も払わなくてもいいのに〜極妹味噌か〜さっき妹もそれ食べようとしててさ〜一緒に食べよ〜って誘ったんだけど断られちゃった。あ〜もう嫌われちゃったのかな〜死にたい〜」


コメント欄ではシスコンで草、2人で同じシリーズ食べようとするの仲良くて好き、もっと妹の話聞きたい!とか色んなコメが流れていく。そんな中で


「『黒羽』そんなことないですよ!!元気出してください!!妹さんだって嫌いだからって訳ではなくて恥ずかくて階段駆け上がって逃げんたんだと思いますよ!!もっと自分に自信を持ってください!!(¥50000)」

「うぇーそんな貰えないって、も〜5万も貰ったら元気なるしかないな〜!また今度誘ってみよ」


コメント欄でも黒羽いいこと言う〜、さすがTO、その通り自信もってなどで溢れていた

黒羽さんは私が配信を初めて初期の初期からいる最古参で私の視聴者の中では最も有名な存在なのだ。1回の配信で約9、10万ほどスパチャするMr.赤スパ(ミス・赤スパかもしれない)であり、この人のお陰である意味生活が成り立っている部分もある大変ありがたいお方なのだ。


「それじゃあそろそろ終わりにしようかな眠くなって来たし」

「『黒羽』おやすみなさーい(¥15000)」

「くろはねさん、そしてみんなもおやすみ〜」


配信を切り、私はベットに横たわる


「くろはねさん今日もいっぱいスパチャしてくれたな〜ど普段何してる人なんだろ」


考えごとしながら静かに眠りについた。



〜***〜



大学生の朝は遅い、今日私は午後2時に起きた。普通に寝坊だ。

とりあえず朝食(昼食)を食べ大学に向かう今日の授業は午後からなので助かった。とはいえ家を出る頃には20分を回っていた。片道徒歩20分の道を急いで走る。授業開始時刻は45分なので割と急がなければならない。


「はぁーこんなことなるなら昨日4時くらいまで配信するじゃなかったー」


思わずため息が出る、黒は今頃大学に居るだろうし、末の妹も高校で真面目に勉強しているだろう。そう考えてるとなんか自分が悲しい存在に思えてくる。


「まあそんなこと考えても仕方ないか」


そんなこんなで大学に着く、大学のど真ん中にあるどデカい広場では様々な人の声が往来している


「俺だって普段はそんな怒んないよ、お前がいちいち馬鹿にするようなことを言うから!!」

「あらあらそんなに強く言われると悲しいな〜」


バカップルが痴話喧嘩してる声


「じゅぎょーだりー」


バカっぽいやつの声


「イシスの野郎...全然来ないんですけど」


インテリそうな男がイライラしながら誰かを待っている声


「イリス...いまひまかな?...いや探偵だし暇なんかないか...?いやでも誘ってみるだけ...」


誰かを誘おうしてる女の声


色んな声に溢れてるこの広場が私は好きだまるで雑談配信している時のコメ欄みたいに沢山の声が色んな感情が私を包み込んでくれる。そんな広場が好きでついつい入り浸ってしまう...もう既に10分も...10分も!?


「今何時!?」


慌てて確認する


『14:50』


「終わった何もかも...」


こうして遅刻した私は後で教授にたっぷり絞られた、5分の遅れごときであそこまで怒らないで欲しい...



〜***〜



「ってことがあってさ〜!理不尽じゃね?」


私はリスナーに今日ことを愚痴る

コメント欄は責任転嫁すな、広場で止まるな、なぜ車使わん、そもそも寝坊するな、とお叱りがいっぱい私の味方は誰もいないのだろうか


「『黒羽』そういうことよくありますよね(笑)私も今日起きたら11時でびっくりしました(笑)お互い頑張りましょう(¥16000)」

「くろはねさん味方はやっぱあなた一人だよ〜」


コメント欄では、黒羽さん甘やかすのは良くない、相変わらず赤スパで草、はくあは甘やかすとどんどんダメになってくぞとか言いたい放題、うるさい!黒羽さんはもっと甘やかしてくれていいんだよ!


「っとそろそろお風呂上がろーかなじゃあ上がったら次は別の配信するからまたね〜」


はくあたんとのお風呂タイム終わってしもうた、悲しい、上がったら次も楽しみにしてる、コメント欄が次々と更新されていく、そう私はお風呂配信というものをやっていた。文字通りお風呂に入りながら配信するというものだそれ以上でもそれ以下でもない、お風呂配信をするといつもより多く赤スパ貰えるので実はちょくちょくやっている。


「『黒羽』お風呂配信楽しかったです、また風呂上がりの配信も楽しみ〜(¥10000)」

「くろはねさん楽しみにしててね〜それじゃみんなまた後で〜」


私は配信を切り、お風呂から上がる、身体を拭いてパジャマに着替え階段を上がり自分の部屋へと向かう、その最中ふと黒の部屋が視界に入った...なんということはない、いっつも見ている木の板に黒と書かれたネームプレートをぶら下げた扉に何故か私は無性に惹かれるものがあった


「黒〜お風呂空いたよ〜」


私は咄嗟にお風呂が空いたことを伝える、ここまで来た理由を無理やり定めるように...しかし黒の声がしないトイレにでも言ってるのだろうか、私は昨日の出来事を思いだし少し頬を膨らます。なんだか避けられてる気がする。

あいにく今日の私は少し気分斜めだ自業自得とはいえ怒られたからだ。

だからなのか勝手に部屋に入ってやろうそんな感情が湧いてきた。ほんの好奇心でドアノブに手をかけて見る


カチャッ


鍵はかかってない、ゆっくり...ゆっくりと扉を開けるその先にあったものは...

単刀直入に言うと扉を開けたことを私は少し後悔した、何故なら


「なんでこんなにはくあグッズが沢山?てか私グッズ展開とか特にしてないはずなんだけど...」


はくあタペストリー、はくあアクリルキーホルダー、はくあ抱き枕、はくあぬいぐるみ×13...


「一体どういうこと?」


その最奥に鎮座しているパソコンに私は目を向ける、はくあ机の上に置いてあるそのパソコンに私は恐る恐る近づくきはくあチェアに腰掛け画面見るそこには...


「さっき終了した私の配信画面?やっぱりはくあのファン?」


そして私は黒のITUBEアイコンを見つける...そこには


「黒が...くろはね...さん?」


間違いない黒のパソコンには「黒羽」の文字が表示されていた...


「いや...そんなわけがない...だって黒があんなにスパチャ出来るわけがない...バイトしてる素振りだって1回も見せていないし一体どういうこと?」


私の頭はその事でいっぱいいっぱいになってしまっていただからこそ前方から近づいてくる...黒に気づかなかった。


「お姉ちゃん...?なんで...私の部屋に入って...?見られた?ミラレタ?ミラミラミラミラ......うわああああああああ!え?バレたバレてしまったバレたバレたバレたバレたバレたバレたうわああああああん!」


黒が私なんか霞むレベルで混乱し泣き叫んだ


「ああああああちょっとちょっと黒落ち着いて、ね?落ち着こ?」


自分より混乱している人を見ると逆に冷静になると言うのはこういう事なのだろうなんかさっきより落ち着いて物事を考えられてる


「えっと黒はこの配信者が好きなの?」


とりあえず私は何も知らないふりをして問いかける


「そうやってしらばっくれるか...知らないとは言わせないよ...」

「え?」

「私知ってるんだから、お姉ちゃんが雪風はくあだってこと知ってて推してるから」


ん??????なんかバレてる?


「もしかして身バレしてる?え?どういうこと?いつからバレて?」

「最初から知ってたよ!知っててスパチャしてたの!」

「もしかして昨日恐れ多いって断ったのも?」

「推しと一緒に夜食、しかもペアルック(カップラーメン)なんて恐れ多くてできないし掲示板で出会った同士達に抜け駆けなんて出来ないからね!」

「じゃあ最近やたら眠そうなのも」

「お姉ちゃんの配信に合わせてるからに決まってるでしょ」

「そんな...ガチで身バレしてたなんて」


ガチで身バレしてたことを確信するとふと当たり前の疑問が頭に浮かぶ


「ねぇ...黒...あなたさ黒羽としてよくいや異常にスパチャしてたよね...」

「うっ」


あんな金うちには無いそれに黒はバイトしてるような素振りも何も見せていないそれにたかが大学生のバイト如きであんなにスパチャできない


「アレ...なんで?」


恐る恐るそう聞くと黒は申し訳なさそうに答えた...


「ね〜お姉ちゃん♡人って知らない方がいい事の方が...」

「なんで?」

「ふへぇっあっいやそのぉ借金してました...」


絶句した聞きたくなかった身バレどころの話じゃ無かった

どうにかしてスパチャをやめさせないと...黒が破滅する!!

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