記入者に関する情報と環境について その41
山下君に依頼するだけでは心もとないので、私も有田紗智を探して構内を歩き回った。
見当たらない。
途中で山下君と合流したが、やはり山下君も有田紗智を見つけられなかったそうだ。
確かにここのキャンパスは広すぎるのだが、ここまで探して居ないとなると、外に出たのではないか...?
念のため、正門の方に回ってみたら、奇妙なことが起きていた。正門の内側にバリケードが作られていたのだ。
そして、正門は開かれていた。
バリケードが囲む空間は、車一台分くらいの広さか。
そう云えば、正門の近くに在った車が無くなっている。
つまり、こういう事か。
まず、車を正門の前に停めて、車を取り囲むようにバリケードを築いた。
そして、正門を開け、車で外に出た。そんな事をした奴が居たのだな。
まあ、正門の内側にバリケードを作った目的は、開けられた正門からゾンビが入って来たとしても、構内への侵入を防ぐためなのだろう。
大学の中に居る人達の事を考えての行動か。
誰だか知らんが、一応、その程度の気配りが出来る奴だったのだな。
とは言え、貴重な車を持ち出されたのは、痛いな。
一体、誰だよ。
そういえば、今日は有田紗智を探していた間、他の学生たちと会わなかったな...。
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