中瀬美月の日記 5

「日課の健康診断だよ。俺がゾンビに咬まれた時、山下さんとセンパイが、看病してくれてただろ。あの時から、ずっと続いてるんだよ。時々、血も抜かれてるんだけどね」


センパイ...?

ああ、もう一人の珍獣だ。名前は知らないけど、皆からセンパイと呼ばれる博士課程の大学院生。

山下さんに輪をかけた珍獣ぶり。

いつも白衣で歩き回るのは山下さんと同様だが、センパイは白衣の下から素足を出してサンダル履き。胸元からも素肌を覗かせてる。白衣の下は、全裸なのではないか。良くて、パンツ一枚しか履いてないのだろう。いくら暑い季節だからって、これはハラスメントだ。

珍獣2人組は、衣服の不足なんて、恐らく、意に介していないだろう。

そんな彼らでも、倉橋君の健康状態は、気になるのか。


「つまり、それは...倉橋君がゾンビにならないように監視しているって事かな?」


「いや、あの人達の話によると、俺がゾンビになる可能性は、殆どないようだよ。

いつも実験室で、何かの研究してるだろ。それで分かったらしい」


本当?あの珍獣たち、そんなに優秀なの?


「で、それどころか、俺はもう咬まれてもゾンビにならないって言ってるんだよ。

まあ、どこまで本当か、分からないけどね」


「え?それが本当なら、凄いじゃない」


「あとセンパイは、咬まれてもゾンビ化しないようなワクチンの研究もしてるって、山下さんが言ってた」


何だそれ?あの珍獣が、そんな事を??

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