記入者に関する情報と環境について その2

あの「事件」が起こったのは、一週間前の7月31日の早朝。


学内には、他にも研究や部活、サークル活動などの用事で夜を明かしていた者達が居たのだ。

通常であれば、夜もそれなりに多くの学生がキャンパスに居たはずだが、夏休みだった事もあり、わずかな人数しか残っていなかった。同じ敷地内に学生寮もあるのだが、ほぼ全員が帰省しており、無人に近かった。

私は、いつものように徹夜で実験し、研究室の寝袋で仮眠をとっていたのだが、同じ研究室の山下君に叩き起こされた。

どこからか現れたゾンビによって、近隣の街は、一夜にしてゾンビで埋め尽くされてしまったのだという。

そんな馬鹿な話があるか。もう少しマシな冗談を考えろと叱ったら、疑うのならば見に来いと手を引かれて連れて行かれたのが、大学の敷地を取り囲む柵だった。


柵の外からは、5~6人程のゾンビが奇声を発しながら、敷地の中へ入ろうと柵の隙間から手を伸ばしている。

どの個体も死人の様な顔をして目も白濁していた。

何人もの人間に嚙みついたためか、口の周りに血が付いている。

映画で見たような光景だったが、実に異様だった。

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