死神に恋をした
月城
第一話 出会い
「あー、面白かったなー」
死神という落語を聴いた。
昔社会の授業で先生から話を聞いた覚えはあるが、実際に聴くとまた違った面白さがある。
しかし、死神というものは架空の人物で実際にいるものではない。
まあ、そんな縁起の悪そうなもの見たくもないがな。
そんなことを考えているうちに家に着いた。
あれ。これはおかしい。
出る前に閉めたはずのドアの鍵は開いており、見知らぬ誰かの荷物がある
「あ、おじゃましてますー」
その声が聞こえた瞬間俺は終わったと思った。ああ、強盗だ。
もうどうにでもなってしまえ。
そう思いその場から動くことができなかった。
しかし、その姿を見た瞬間俺は強盗ではないことに気が付いた。
「すみません、驚かしちゃいました?」
頭まで黒い服に覆われ、背中には大きな鎌を背負っている。
これは、いわゆる死神なのか?
「あのー、私死神と申しますー」
その死神は女の子だった。年齢は二十くらいだろうか。
白い肌につやのある黒い髪。服がよく似合っている。
「死神さん…ですか。一体どんなご用件でいらっしゃったんですか?」
俺はこの死神の目的が分からない。そもそもこの死神が本物なのかすら分からない。
「えっと、詳しいことはあまり言えないですねー。上からの命令なので。」
「とりあえず今日からしばらくここに住ませてもらいますねー」
少し動揺しながら俺は応える
「ちょ、そんないきなり困るんですが。」
「まあ、死神は食べ物とかいらないんでー気にすることないですよー。」
「俺が言ってるのはそういうことじゃなくて…」
人間ではないが仮にも女性だ。家に住まわせるなんていいわけがない。
「だいじょーぶですって!」
死神は荷物を広げ始めた。完全にもうここに住む気なのだろう。
説得するのは無理そうだ。
「あー、ちょっと今日はもう疲れちゃったのでお酒もらっていいですか?」
ん?今なんか言ったような。
「え、今なんて」
「お酒もらっていいですか?」
「あんた、酒飲むのかよ…」
どうやら最近の死神はお酒も飲むようだ。
「あ、一緒にどうです?」
俺も今日は少し疲れたな。
もとはといえばこの死神のせいなんだが。
「じゃあ、遠慮なく。」
「かんぱーい!」
死神の声は狭い俺の家に響き渡った。
死神に恋をした 月城 @rokunii0621
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