第2話 破片
全く気分が晴れない。きっと頭が半分砕かれてしまっているからだろう。目の前で枯葉が木枯らしに吹かれ円を描いていた。僕はただそれを眺めていた。
僕の頭の破片は半月前からそこら辺に散らばり、まだ拾いきれていない破片もきっとあるだろう。そこにあったはずの僕の頭の痕跡はすでに雨に流されてアスファルトの黒と同化しようとしていた。
空は無慈悲にも快晴だった。雲一つない快晴だった。太陽の光は温かく、逆に寒さを際立たせた。風だけが僕の時間の中で動く事象だった。
僕は元通りに頭を繋ぎ合わせることが出来るのだろうか?分からなかった。破片が足りなければ何かで補えるのだろうか?それとももう僕には戻らないのだろうか?咄嗟に拾った僕の破片はそれで十分なのだろうか。何故頭が砕かれたのか、そして頭を砕かれてもなお、意識があり鼓動もし、生きているのかを不思議に思う余裕はその時の僕にはなかった。
僕は頭の破片を拾うのと同時に、僕の頭を砕いたものが何だったのか、それを知る必要があった。頭を砕かれたのか理由が思い出せなかった。
空を見上げた時に見えた一瞬の輝き、僕の記憶に映っていたのはそれだけだった。はっきりとした影はわからなかった。それが分からないのは僕の頭が繋ぎきれていないだけなのか、それとも元々見えていなかったのか、それさえも今はわからなかった。
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