見え隠れ

幼稚園で友達という友達ができないまま女の子は卒園した。

両親の見栄なのかなんなのか、女の子は私立の小学校に入学した。

入学式を終え、前の席の子から話しかけられた。

「友達になろう?」

女の子はそこで初めて知った。

友達になるには声掛けが必要なんだ、と。

女の子はこう答えた。

「いいよ」

これは女の子が間違えた方向に足を踏み出した第一歩だったのかもしれない。

だが小学一年生なりたての女の子はそんなことも考えず初めての友達が出来た気でいた。

声掛けから始まった関係は友達とはいい難いのに。

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