ゴリラとシールド

滝川 千夏

第1話

 面接が行われる会議室で緊張して待っていると、スーツを来た五十代くらいの男性が颯爽と入ってきた。


「白崎さん、おまたせしました。面接官の佐藤と申します。」


「本日はお時間いただきありがとうございます。よろしくお願いいたします」


 席を立って、始めの挨拶を交わした。


 

 応募したポジションの上司となる佐藤さんが、私の履歴書を見ながら話を進める。


「いやぁ、白崎さんは優秀な方ですね。僕の部署に対する僕のビジョンはね――」


 白崎茜は、緊張がほぐれてきたのを感じた。


 現職よりもより高い給料の仕事を探して、現在、目下転職活動中。週一日在宅勤務可能なところに魅力を感じ、このポジションに応募した。


 一次面接、二次面接を通過して、今日は最終面接だ。 


「おっと、もうこんな時間だ。お腹が空きましたか?」


「あっ本当だ。もう八時ですね。そういえば、お腹が空きましたね」


 予定終了時刻の七時から一時間も過ぎていた。

 

 佐藤さんは話好きなのか、私が話したのは最初の数十分だけで、他は佐藤さんのキャリアに対する熱い思いを語り、あっという間に時間が経っていた。


「長くなってしまいすみません。後日、結果を連絡します」


「ありがとうございました」

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