ひろしのご主人様は白髪の美青年騎士で、その従者と共に異国の地を旅していると美女に会ったり下着をゲットしたり魔獣たちに襲われたりして、マッチョと友になり、驚愕の事実が判明する冒険・略して『ひろしの冒険』
改淀川大新(旧筆名: 淀川 大 )
第1話 大草原の美女
青く
その若い女は広大な草原の中に独りで立ち、天に向けて両手を広げた。体いっぱいに光を受けながら、この素晴らしい自然を恵んでくれた神に祈りを
森の手前まで来ると、彼女は息を飲んで立ち止まった。バスケットの蓋を開け、そっと屈む。その時だった。森の中にギラリと光る物が動いた。彼女は腰を抜かしてその場に座り込む。森の中の暗闇からうめき声とも叫び声とも分からない声が聞こえてきたかと思うと、草をかき分けて小人たちが突進してきた。緑の肌の鬼のように恐ろしい顔に鋭い牙、手には斧や
その醜い魔物たちは、
座り込んだまま
彼は女に手を差し伸べて言う。
「お怪我はございませんか」
ハッと我に返った彼女は、彼の手を取って立ち上がった。
「大丈夫です。ありがとうございました」
彼女は深く腰を折って一礼した。額に手の甲を当てて微笑む。キョトンとしている青年の横に中年の男が口髭を動かしながら歩いてきた。
「この国の感謝の示し方ですよ。作法なのです。ところ変われば、ですな」
口髭の男はニヤリと笑ってから、麻の衣のフードを被った。彼の横を白い犬が駆け抜けて、彼女に飛び掛かろうとする。
「ひろし!」
「キャウンッ」
髭の男が犬を蹴った。犬は草むらの中に飛ばされ、そのまま斜面を転がり落ちていく。その先の沼から水を叩く音がした。
「まったく、あの馬鹿犬が。若い女を見るとすぐに突進しやがる」
髭の男は腰の帯からヤギの革で作った水筒を外すと、それを口元に運び傾けた。強い酒の臭いが周囲に漂う。
鎧姿の白髪の青年は青いマントを身にまとうと、彼女に言った。
「この辺りは魔物が多い。女性が独りで歩くのは危険ですよ」
「あの、失礼ですが、
「私はデュラハン・アルコン・ドレイク。この者は私の従者でヨッド・カーウァ」
腰の帯に水筒を戻していた髭の男は軽く会釈をした。
「さっきの犬は……」
「ひろしです。忘れて下さい。勝手に我々の旅についてきているだけですから」
一度沼の方に心配そうな顔を向けた彼女は、青年の方を向きなおし、再び尋ねた。
「旅の途中なのですか。どちらから」
「アルラウネ公国から来ました」
「え?」
驚いた顔で、女は半歩後退した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます