第7話 チョコ調査


こうさんはバレンタイン、どんなチョコ欲しいですか?」

「ん?すみれがくれるなら何でも嬉しい」

店からの帰り道。バレンタインが近いことを思い出し、菫は聞いてみたのだが。

「それはそれで嬉しいですけど。手作りか、買おうか、悩んでて」

「手作りがいい。菫のお菓子美味いから」

「じゃあ、作りますね。前はチョコケーキ作りましたけど、種類どうします?トリュフとかフォンダンショコラとかありますけど」

「菫に任せる。当日楽しみにしたいじゃん」

楽しげに笑う榊につられ、菫も少し笑った。

「分かりました」

「俺が一つ考えてんのは」

「?」

榊が立ち止まり、菫も足を止める。

「バレンタインこそ何も起きるなよ、ってことだ。クリスマスからこっち、イベントの度何かあるからな。俺たち何も悪くないのに!」

「あー……」

クリスマスにはループに巻き込まれ、大晦日は歳神と地蔵の来訪、初詣では神隠しに遭った。菫は複雑な顔で榊を見る。

「晃さん、それフラグになりません?」

「なってたまるか!バレンタインくらいのんびりいちゃつきたい!」

本音を叫ばれ、菫は溜息をつく。

「これだもんなあ……」

何故口を開くとこの調子なのか。何事も無く過ごしたいのは菫も同じだが。

「何が起きても。晃さんと一緒なら大丈夫です」

「……もう何も言えねぇだろ。んなこと言われたら」

睨む榊を見て、菫は声を出して笑った。

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