第8話


それからも、りょうからの電話は、頻繁に続いた。

LINEはせず、ずっと電話。

職業はしっかりしている。恋愛や、結婚するなら、一般的に考えるなら、申し分ない。

でも、はじめて会って、体に触れてきた時点で私からしたら、アウトだった。

次第に、電話にも出ないようになってきていた。はっきり気持ちがないと言っても、ずっと連絡してくるからだ。

次は、もう1回でて、断ろう。そう思った矢先、非通知の無言電話がかかってくるようになった。1日1回、ひどい時は夜中までかかってくる。出ると無言。出ないとずっと鳴り続く。

りょうだと判明したのは、一度電話にでて、普通に話してきたからだ。

「何で非通知なの?」と聞くと、

「電話の設定が。」

とかごまかしていた。私は、それからりょうからの電話も、非通知も、とらなくなった。

りょうは、諦めたかと思っていた。後々分かるけど、違った。


私は、恋愛に向かない。今は、できる状況かもしれないけど、そう思いながら生活していたある日…

あゆみから、また連絡がきた。婚活のお誘いだった。

りょうとの事情を話して、私は向かないと断ったけれど、1回話そう、とカフェに誘われた。

「今は、アプリもあるから、気楽に男友達でも作ってみたら?」

気が進まなかった。もし、恋人ができても最初はいいけど、別れがくる。わざわざ、その候補を作る意味が分からないと思いだしていた。


「そんなこと言わず、今は、アプリもあるから、気楽に男友達でも作ってみたら?今まで子育て頑張ってきたんだから、少しは楽しんだらいいじゃん。ま、私は人のこと言ってる場合じゃないけどさ。お互いさ、良い人見つけて、また恋の話しでもできたらさ。」

あゆみの気持ちは、とても嬉しかった。でも、気が進まなかった。もし、恋人ができても最初はいいけど、結婚しないならいずれ別れがくる。わざわざ、その候補を作る意味が分からないと思っていた。

りょうで一度失敗したし、あゆみみたいに、将来結婚したい、という大きな希望もない。「うん、うん。」と聞き流していた。

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