総司の居る部屋
桜梨
第1話
ここの離れで、
沖田は、肺病を患っていた。
現代で云う、
容体は、良くない。
沖田は、本来であれば、組織名を
しかし、その道中で病状が悪化したのだ。
1年前に発症してから、それまで何とか持ちこたえて来たのだが、どうやら限界が来たらしい。
名医として知られる
労咳は、感染する病だ。
この部屋へ沖田が
静かな場所だった。
植木屋だけあって、庭には
身の回りの世話をしてくれる付き添いの老婆も、本当に、良くしてくれる。
だが、沖田の体力は、徐々に衰えているのが判る。
稽古はしていないので、剣の腕前も落ちていく。
「くやしいなあ」
本当なら、近藤先生や土方さん達と一緒に戦っていたはずなのに。
剣を振るえない自分の存在など、何の意味があるのか。
ふーっと溜息をついたら、肺の奥からゴロゴロという音が聞こえる気がした。
時々、呼吸するのが辛い。
「くやしいなあ」
もう一度、呟いた。
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