田舎住まいのカニバリさん

カイン・フォーター

第1話 檻に閉じ込められる太陽

何気ない日常


朝にテレビをつければ、火事、強盗、殺人、事故などのネガティブなニュースや、動物園で赤ちゃん〇〇が生まれた、人気店の紹介、お悩み相談とポジティブなニュースが流れてくる。

或いは、〇〇国でテロがあっただの、□□国で大事故があっただの、△△国で軍事パレードが開かれただの、世界情勢のニュースも流れてくる。


朝ごはんを食べ、顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、メイクをして、身だしなみを整えて、鞄を持っていざ出勤。

ドアを開けばお隣さんがこんにちは。

街に出れば、制服を着た学生が自転車に乗っていたり、スーツを着た社会人が車を運転していたり、私服を着たご近所さんが犬のお散歩。

交差点の人混みを抜け、行き交う人の流れに乗りいつもの駅のいつもの乗り場で電車を待つ。

通勤ラッシュの満員電車で右へ左へもみくちゃに。

いざ電車を降りれば、また人の流れに乗って駅を出る。

そして、歩いてしばらくの会社に入る。

先に来ていた同僚や先輩後輩、或いは上司に挨拶をしてデスクに向かう。


お昼が来れば、店で何か買ったり、社員食堂で何か買ったり、持参したお弁当を食べる。

一人で食べる人、同僚と食べる人、上司と食べる人、外回りで飲食店へ行く人。

それぞれの場所でご飯を食べ、休憩の後またデスクへ戻る。


定時が来れば、仕事が終わった人から帰り、それ以外の人は残業。

帰る時間は人それぞれ。

定時で帰る人、少し残業する人、しっかり残業する人、かなり残業する人、サビ残魔でする人。

帰宅ラッシュの電車に揺られ、駅のコンビニで弁当を買ったり、近くのスーパーで惣菜を買ったり、家でご飯を作ったり。

もしかしたら、専業主婦の奥さんや旦那さんが居て、帰るとご飯が用意されている。

そんな人も居るだろう。

ご飯を食べ終えると、ソファーへ向かい横になる、テレビを付けて、バラエティ番組を見ながらスマホをいじる。


いい時間までそうやって時間を潰し、お風呂に入って、頭と体、顔を洗う。

お風呂から上がると、パジャマに着替えて歯磨きをし、ベットへ向かう。

電気を消して、ベットの中でスマホをいじる。

いつの間にか寝る時間。

スマホに充電器を刺し、近くにおいてアラームセット。

おやすみとつぶやき、毛布を被って眠りにつく。


そんな日常。




しかし、そんな大衆的な日常は、ある日突然。

なんの前触れもなく終わりを告げだ。









『速報です。突如として、海外とのあらゆる通信手段が使用不能となった事件ですが、政府から新たな情報が公開されました』

『政府の発表によりますと、日本の排他的経済水域より外側に対し人間や人工物が一切出られない状況になっているとのことです。また、外部からの侵入も遮断されているとのことで、日本の排他的経済水域内に入ろうでしたタンカーが、《見えない壁》に阻まれ、立ち往生している姿が確認されているとのことです』

『この事件に対し、野永総理大臣は“極めて非現実的な内容ではあるが、これはすべて現実であり、この非現実的現象は今確かに起こっている。科学的根拠に欠け、あまりにも現実的でないが、何かしらの攻撃、又は工作によって日本は海外とのあらゆる交流手段を遮断された。まるで、日本という国そのものが見えない檻に閉じ込められているような状況である”と声明を発表しました』

『また、各地で見たこともないような化け物が出たという通報が相次いでいる件については、現在調査中とのことです』









あれから八年

日本は《国家封鎖結界》とモンスターの出現により、ガラリと変わってしまった。

今や先進国の面影はなく、明日を生きることにすら困る状況。

それでも、人々は日本を取り戻すべく多くの土地をモンスターから奪還した。

それが、国土の数パーセントでしかなかったとしてとも。


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