偶然のイッチと先見のメイ

ことばのあや

『偶然』

ものごころがついた時にはわかるようになっていた。


未来が。


といってもそんなおおげさなもんじゃない。

いざ、その場面に出くわした時に『こうなるんだろうな』って思ったことがその通りに起きる。

それだけの能力だ。


最初は思ったことが本当になる能力とかだと思った。

流行りのゲームが欲しい!

とか

焼肉食べたい!!

とか

思っても実現しなかった。


この、未来がわかる能力は、「いざという場面」で「しか」発動しないらしい、なんともまぁ使い勝手の悪い能力だ。


でも、こんな能力だけど役に立つことはあった。


車にひかれそうになった弟を救ったり、おぼれそうになった近所の女の子を助けたり、ご近所のボヤを大きくなる前に止めることができた。


こうした人助けなどをするうちに、声をかけられることも増えた。


「また君か!いつもありがとう!」

「君にはいつも助けられてるな、ありがとう」

「お兄ちゃんありがとう!」


もはやご近所では人助けの少年として認知されてしまっている。


でも、いつも言うことは決まってる。

『偶然、ですよ』


わかっていることを防いだり、助けたりするから本当は『必然』なんだけどね。


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