第7話 ''一人目''特攻隊のクシブ☆
「まさかなごみんがいるとはね。僕も驚きだよ。」
爽やかな笑顔が輝かしい。
それに呼応して七五三も笑顔を見せる。
「私、先輩に憧れて働くことにしたんです。」
そう言えば、そんなことも言ってような気がする。
「紹介するね。新しく仲間になるこの人は
「僕は
「俺は
俺とアルファは握手を交わす。
彼の手は見た目に反して少しゴツメで頼もしかった。
「自己紹介はよろしいだろうか。」
図体の大きな彼が口を開いた。「はい。」と返事をした。
「これから七五三君とクシブ君はアルバイターから社員になる。それに伴いC級からB級に引き上げる。そもそもC級とかB級とか言われても分からないだろうから、ここらで説明させて貰うよ。」
三人の目線がシロクマさんに集まる。
「我々はズリアンを強さに応じてランク付けしている。最も弱いのがC級。B級、A級と続き、その上にS級がある。ただ、S級にするにはあまりにも強すぎる七体のズリアンだけは特別にX級としている。」
あの時、あのリスタでも勝てなかったX級のズリアンが如何に強かったのか、その裏付けになった。
「また、我々ズリアンハンターにもランク付けを行っている。基本的には倒せるズリアンのランクに応じてつけられる。A級を倒せるようになればA級。S級を倒せるようになればS級。というようにね。」
なるほど。俺らにつけられたランクが相対するズリアンの適正ランクを示しているということか。
「ただし、社員ではないのであまりにも生死に関わる戦場には関わらせられないアルバイターはC級に固定される。それと、X級ズリアンはS級が束になってようやく勝てるか勝てないかの強さのため、X級のハンターはいない。今後数年は出ないだろうと踏んでいる。」
つまり、リスタがワンマンで戦ったのは無謀なことだったのか。
思わぬピースが埋まった。
「さて、君達には明日から仕事をして貰おうと思う。今日は打ち合わせをして早く帰るといいよ。」
アルファは炎を使うみたいだ。
遠近両用の能力でバランスのよい攻撃が可能なようだ。
次の日。俺らは任務のため、壁の中の日差しへと出た。
アルファは布地の黒マスクをつけた。マスクに赤で描かれた炎のマークがいい味を出している。
四人用の乗り物が出てきた。社員専用の乗り物らしい。それに乗って目的地へと向かった。長い道のりでも、快速なのに快適なこの乗り物のおかげで苦痛なく着いた。
幾つか歩いていく。
今回の狩るべき対象が現れた。
「B級
レッサーパンダに似たズリアンが四匹。その可愛らしい見た目と裏腹に恐ろしい部分を持ち合わせているみたいだ。
他にもペリカンのズリアンもいる。数羽そこにいる。
「見失わないように気をつけて。それと、周りにB級
一羽のメリカンがこちらに気付く。水の波動が放たれた。
『火炎放射──』
マスクから放たれる炎が水を消し去り、メリカンを襲った。それを機に、他のズリアンがこちらに気づいた。
ぐはっ。
急にやってきたお腹への攻撃。素早い動きからの体当たり。俺は後ろに飛ばされた。
「痛ってぇんだよ!」
勢いが止まった。お腹から落ちたレーサーパンダを思いっきり踏みつけた。まずは一匹。
炎をまとった足がレーサーパンダを蹴り飛ばしていた。放たれるレーザーがメリカンを撃ち落とした。
順調に倒していく。
いつしか目的は達成していた。
皮を剥ぎ、室内に戻ることにした。そこに不穏な音が鳴り響く。
「気をつけたまえ。そこにA級のズリアンが近づいている。終わりと油断せずに、臨戦態勢を整えてくれ。」
その司令を聞き、警戒する。
その時、海からズリアンが出てきた。アザラシ型のズリアンだった。
「A級
ハジラシは尻尾で地面を叩いて、その反動で勢いよく飛び出してきた。
「燃えていこうか。命を燃やせ!」
ハザラシのパンチがアルファを襲う。負けじと彼もパンチを食らわせる。
殴る蹴るの往来。
強い攻撃のために思いっきり勢いを溜めたハザラシ。その隙を見逃さない。彼は攻撃を軽く避けてマスクから炎を出していった。炎が体を伝っていく。
『烈火の拳』
炎が腕にまとわりつく。
炎の飛沫と同時に瞬間的に移動するアルファ。彼は炎の腕でハザラシを殴った。
ノックアウト。ハザラシは意識を失いその場に転がった。
「決着だね。A級のズリアンともなると、取れる素材は異能マスクや武器の材料になるからね。丁寧に剥いでいこう。」
ハザラシは皮を剥がれ、肉を断たれる。素材集めも終わり俺らは乗り物へと戻った。
突然、降り出す小雨。
乗り物についてる屋根が雨を弾いてくれた。だが、「雨は嫌いだ。火照った体が急激に冷えてしまうからさ。」とアルファ。到着した後、乗り物を置いてほんの少し雨に濡れる。
「小雨で良かったよ。」
そんなことを言ってるアルファ。
建物の外を見ると、不穏な黒い雲がゆっくりと近づいてきていた。
「よく集めたね。君達からはズリアンハンターへの愛を感じるよ。この調子で頑張ってくれ。」
夜には缶ビールを開けた。
追われていた焦燥感が今はない。ゆっくりと飲み干した。うめぇ、と吐き捨て、俺はおつまみを本能のままにむしり食べていた。
その日、シロクマさんから司令が出された。
俺、七五三、アルファの三人チームで耳を傾けた。
「君達には設楽区域にある
写真に映る赤みがかった宝石に似たもの。これが〇〇か。
「設楽は三種類ある。そのうちの一つ〇〇
俺達に新しいミッションが与えられた。
壁の中の外へと出る。
雨は降っていないけど、厚い雲のせいで全体的に暗い。
俺達は乗り物で目的地へと向かった。
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