第4話〜余裕と危機〜
「はぁ!?なんだよ......これ......」
俺は部屋に入り、ボコボコに殴られたベッド、散乱している俺達の私物を見て、とりあえず落ち着こうと深呼吸を決めた俺は、とりあえず先生へ報告しに広場へ向かった。
「これは、ひどいな......」
先生と辰也達が到着し、ある程度散らかったものを片付け始めた俺達は、犯人について話していた。
「一体誰がやりやがったんだ」
「落ち着け高橋、とりあえず状況を絞ろう」
俺は散らかった服を畳みながら脳内をフル稼働させて状況を整理した。
犯行推定時間は俺達が広場に行って、説教を受けてから戻ってくるまでの間。
広場での点呼、集会が15分近く続いた後、俺たちの班は5分ほど説教を受けた。
少なくとも集会中の15分間は反抗不可能となれば、逃亡時間まで合わせて約3分程度。
であれば、クラスが各自の部屋に戻る際に犯人を目撃している可能性がある。
それに加えて、3分であそこまで部屋を荒らす事ができたのは恐らく入念に計画を練っていたからつまり、この中の四人......とは言っても、十中八九俺に対して、だろうが敵対している人物になる。
「なるほどな、つまり俺たちに対して敵意を持ってると、しばき倒してやりてぇな」
高橋は鬼の形相で指を鳴らす。
「高橋!やめとけ、怒りに身を任せて動けば、犯人の思う壺だ。」
「ああ、射山の言う通りだ」
射山が高橋を宥めたタイミングで、俺も射山に乗っかりなんとか高橋の怒りを鎮めた。
「粗方片付けは終わったな、射山の言う通り、お前達は好き勝手に動くなよ?」
そう先生に釘を刺された俺達だが
・・・・
「そう言う意味じゃないんだよなぁ」
射山はニヤリと笑う。
「確かに僕は高橋に"下手に"動くなとは言った。しかし"下手に"動くなって事で、動くなとは言っていない」
そう微笑んだ射山に対して
「お前絶対性格わるいな」
そんな思いを抱いたのは、俺だけでは無いはずだ。
結局、辰也と俺、高橋と射山で聞き込みを行う事にした。
聞き込みを始めると、案の定。すぐにボロが出た。
「ついさっきの集会が終わって宿舎に戻る時、一階の西宿舎で怪しい奴とか見なかった?」
廊下で女子男子構わず突撃して探っていく辰也を見ていると、相変わらずコミュ力の塊だなぁと、感心せざるを得ない。
「ああ、怪しいかどうかはわからないけど、室内で冷房もついてるのに、厚手の黒い上着を羽織った人を見たよ、流石におかしいから笑っちゃった」
微笑みながら言う女子生徒に一言お礼を言った俺達は、得た手掛かりを持って自分達の宿舎に戻った。
「よっす!辰也、紫電、戻ったか」
「おつかれ!高橋、射山、情報は手に入ったか?」
俺達は手に入れた情報を持ち寄り、犯人を絞るべく情報をまとめた。
「纏めると、厚手のフード付き黒い上着を着てて、白い稲妻マークのスニーカーをはいていて、ズボンはうちの学校の長袖体操服ジャージ、それ以外はないか」
三人で共通する情報と似たような情報を合わせて纏めると、今辰也が読み上げたようになった。
「これが、今んとこ俺らが持ってる犯人の情報ってわけな、」
「どうする?一人一人の部屋回って上着とか確認するのか?」
それは不可能だな、
「そいつはいくらなんでも不可能だ。俺らが嗅ぎ回ってるのを知った犯人が証拠を隠して詰みだろ」
俺の言いたかった事を射山が全て言ってくれた。
どうしようか、そう全員が考えた刹那、館内放送が響き渡った。
「白鷺学院高校1年生は20分後、中央広場に集合しなさい、繰り返します......」
そんな館内放送を聞いた俺達は、とりあえず出発の準備をし始めるのだった......
「では、これより初めのイベント!フィールドワークを始める!」
広場に集合した1年生に待っていたのは、そんな言葉だった。
「では早速、ルールを説明する。まず一つ目、今からみんなには1つの班で3つのコースのうち1つを選んでもらう!コースはスピーディーハードコース、ミディアムコース、スローイージーコースがある。その名の通り、スピーディーコースは近道を言って早く戻ってくることができるが、その分とてもきついコースだ。ミディアムは普通、イージーは遠回りをしつつのんびりとゴールを目指すことができるコース、さぁ、どれか選んでくれ!二つ目、各コースにそれぞれ三つずつチェックポイントがある、そこでは休憩給水ができる他、ポイントごとに設定されている問題にチャレンジすれば、その先のコースを優位に進められるアイテムやヒントを得られるぞ!三つ目、妨害行為や他班の問題を妨害し、進行不可にする行為は禁止だ!ちなみに!上位入賞班には特別なプレゼントがあるぞ!それでは10分間班で作戦会議だ、10分後出発だ!」
作戦会議が始まり、班内で議論が交わされる。
「どうします?俺は部活勢も多いし、みんな体力はあると思うんで、スピーディーハードコースがいいと思いますけど」
「却下」「却下ですね」
星河と俺は同時に否定した。
「何故だ?星河はともかく、長月は体力あるだろ?」
「別に体力があることは否定しない、しかし、それはあくまで俺だけの話、他の奴全員がそのコースについて来れるという保証が、お前にはあるか?」
「長月君に全くもって同感です、第一、私達が上位入賞を狙うということすら話し合ってませんし、少なくとも私は上位入賞なんてしなくても、楽しくフィールドワークできればそれで満足です」
「同じくだな」
俺と星河のダブルパンチをうけ、言い返せなくなった男子班員は、その場で引き下がった。
「改めて皆さんに意見を、このフィールドワーク、みんなに合わせて楽しみませんか?」
今さっきの議論からの問い、明らかに説得力に満ちているその問いに背く人間は居なかった。
「うん、そのほうがいいと思う」
「じゃあ、運動も兼ねてミディアムコースにしないか?普通位がちょうどいいって言うしな」
「賛成!普通位がいいと思う」
賛成の声も多かった為、俺達の班が進むコースはミディアムコースに決定した。
そうしてスタート位置についた俺達は、なんやかんやありつつも、サマースクールキャンプの醍醐味イベントの一つ、フィールドワークに参加するのであった......
しかし、この時紫電は、いや、班員達は知る由もなかった。この後訪れる、最大の"問題"に
あとがき
皆さんこんにちはReitoです!投稿が遅れてしまい、大変申し訳ありません!では早速物語について話していきましょう!今回は衝撃的な場面から始まりましたね、いやまあ、主人公自体恨みを買うような事件の解決の仕方をしてたんで、こうもなるんじゃないかな?という感じで書いた次第でございます!それでは次回予告
次回、フィールドワークが関わってくる事件に主人公が巻き込まれます。そこで主人公がピンチに!?一体何故?そしてそれをどう切り抜けるのか!?乞うご期待!それではまたみなさん次回お会い致しましょう!
good-by!
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