#044 : 世界地図

カエデです!こんにちは!


前回、誘拐されそうになっていた女の子を助けました!

略して!?

【カエデ!誘拐少女を痛快に救済!そして焼売が食べたい!】


うーん…

やっぱりサクラのように上手くは韻を踏めないなぁ…



カランカラン♪……カランカラン♪……カランカラン♪……

カランカラン♪……カランカラン♪……カランカラン♪……

カランカラン♪……カランカラン♪……カランカラン♪……


私は10秒毎にパン屋さんのドアを少し開けて外の様子を確認していました。

しばらくして誘拐犯が追ってこない事が分かるとホッと一安心しました。

「…カエデ?あんたのが怪しいからね?」

おっソロさんがため息混じりに言いました。


エストちゃんにいきさつを確認します。


「エストちゃんはなんであの男の人に誘拐されかけていたの?」


『…それが…気付いたらこの街に居て…男の人に追いかけられて…名前以外の記憶が全くないんです…』

エストちゃんはうつむきながら答えました。


「えっ!?…記憶喪失…?」

「えぇ?記憶喪失ってやつかい?」

私とおっソロさんは顔を見合わせました。


「うーん…困ったなぁ…私はこれからラウワに居る大魔王サクラに会いに…旅に出るところなんだよね…エストちゃんを放ってはいけないしなぁ…」

私はボソッと言いました。


すると、エストちゃんがハッとした顔で言いました。

『…え?…サクラ…?……なんだろう…なんでだろう…私もその人に会わなければならない気がする…カエデお姉ちゃん!私も連れてってください!』


「え?うーん…危険な旅になるだろうしなぁ…」

私が困っているとおっソロさんが言いました。


「お?カエデ!無事に身分証を発行してもらえたんだね?それならいつも小麦を買ってる商会の人にラウワまで一緒に連れてって貰えるように頼んでみるよ!あはは!」


「わーい!おっソロさんありがとう!」


「エストちゃんは身分証無いよね?カエデの妹って事でいけるかなぁ?小さいから荷物にでも紛れてれば分からないかもねー!あはは!」


「い、妹!?」

『頑張って荷物に紛れるよカエデお姉ちゃん☆』


そんなこんなでエストちゃんとラウワに向かうことになりました。



トントンと話は進み、いよいよ旅立ちの日です。


「おっソロさん…本当に本当に…ありがとう…ございました…。」

『ありがとうございました☆』

私はおっソロさんに抱きついて泣きました。


「あはは!何言ってんだよ!二度と会えないってわけじゃないし!またいつでも来なよね!パンをたくさん焼いて待ってるからさ!」

そう言うおっソロさんの目にも涙が溢れてました。


やがて、1台の大きな馬車がやって来ました。

馬車の荷台には冒険者風の2人の女性が乗っていました。


馬車がパン屋さんの前で止まると、馬の手綱を握る人が話しかけてきました。


「おう!おっソロさん!話は聞いてるぜ!…そこのお姉ちゃんとちっこいのが、おっソロさんの言ってた2人姉妹だな!よろしくな!」


「親方!頼んだよ!あはは!」

おっソロさんがその人を親方と呼び挨拶をしました。


続けて冒険者の2人が挨拶をしてくれました。

「私は冒険者のアリスです。剣を得意としてる剣士だ。宜しくな!」

「同じく冒険者のドロシーです…魔法が…得意です…宜しく…」


冒険者の2人はとてもカッコよく、キラキラして見えました。


次に、私たちの自己紹介をします。

「はじめまして。よろしくお願いします。異世界から来ました、冒険者になりたてのカエデです。得意技は良い形の石を投げることで、Fカップです。あ、それからこの子が…」


((あ、カエデお姉ちゃん、私の紹介もしてくれるんだ☆))


「…親友のカブト虫の宗一郎です。さっき捕まえました。よろしくお願いします!」

私は鼻の下をスリスリしながら得意気に宗一郎を見せました。


『ってカブト虫の紹介かよ!いつ捕まえたの!?私も欲し……あ!…オホン☆よろしくお願いします☆エストと言います。荷物役を頑張ります☆』

続けてエストちゃんが自己紹介をしました。


「待って!カエデの情報量が多くて追いつかない!」

アリスさんが頭を抱えて言いました。


「…カエデ…あはは…。」


いつも陽気なおっソロさんでしたが、あんな不安そうな顔…始めて見たな…。



その日は野宿をすることになりました。

私たちは荷台で、親方と冒険者さん達は焚き火をしながらその場で寝るという感じです。


私が野宿をする時は木の上でビクビクしながら寝てたので、なんだかとても嬉しかったです。


その晩は冒険者さん達のお話をたくさん聞かせてもらいました。


そして、翌朝…事件が起こりました。


なんと、エストちゃんがおねしょをしました ——。


「荷台がびしょびしょだね…w」

『違うの!こ、これは汗なの!い、いや!これは…そう…世界地図なの!信じて!』



(ナレーション)

——こうしてカエデ達は大魔王サクラのもとに向かったのである。




(つづく)

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