#008 : 異世界情緒
「エスト様!エスト様!しっかりしてください!」
私は瀕死のエスト様を背負い、ダンジョンを走っていた。
どのくらい走っただろう。
もう時間の感覚が無くなっていた。
疲れも感じない。
ただひたすらに走っていた。
「ああ……私のせいだ…!……エスト様!もう少しですよ!どうか…どうか…!…頑張ってください!」
…
—— 話は少し遡る。
…
「チクセウ…チクセウ…あのトカゲめ…チクセウ…」
ドラゴンに敗北し、ホームのエスト様の部屋に戻った私は、お酒を飲んだくれていた。
『お姉ちゃん!?………そのお酒…
「黙りゃッ!小娘ッ!私は悲しいよ…ううう…異世界に転生されて鬼になってるわ…
『情緒が仕事してない!』
私はガバッと起き上がりエスト様の紅の眼を見つめながら言った。
「エスト様…私はとんでもない事に気付きました!」
『酒くさッ!』
「これは凄い事です!いいですか?このまま…私の スキル
『情緒頑張って!』
「えっと…話が逸れましたか?逸れましたね?…スキルの 暴食 で色々な生物の特性を習得していけば、憧れの【
『な、何を言ってるの?』
「具体的に言うと、溶岩の中でも生きてられます。」
私は最高のドヤ顔をした。
『凄いッ!お姉ちゃん!凄いよーッ!』
「あはははははッ!もっとよ!もっと言いなさい!小娘ッ!……でもね…宇宙空間はダメなの…はふぅ…ぅぅぅ…凍るの…凍るのよー…ううう…そのうち考えるのをやめないといけないの……ううう…」
『いーや!情緒ーッ!』
明るい星に霜が降るような良いツッコミをするようになったなーと、エスト様の成長を心から喜んだところで、私の記憶が飛んでいる。
…
「はッ!?…エスト様?うぅ…頭痛い…」
翌朝、目が覚めるとエスト様の姿が見えなかった。
ひどい二日酔いだったがエスト様を探したところ、書き置きを見つけた。
[ お姉ちゃんがポンコツになってるので、1人でレベル上げをしてきます。
私も早く魔王らしく強くならないとね☆
心配しないでね☆
追伸 : オヤツは棚にあります。
私の分は食べちゃダメだよ?残しといてね☆ ]
「エスト様!?た、大変だ!」
私は棚のオヤツ2人分を急いで口に含むと、エスト様を探しに走った。
しばらく走るとエスト様とモンスターが対峙している姿が目に入った。
どうやらエスト様の優勢のように見える。
「あぁ!エスト様!良かった…勝てそうね………あ!危ない!」
エスト様の横から別のモンスターが襲いかかった!
『きゃ!』
エスト様はモンスターに倒されてしまった。
「エスト様ーーーーーッ!!!!!」
私はエスト様に駆け寄り、モンスター達を瞬殺すると、エスト様を抱きかかえた。
「エスト様!エスト様!……良かった。生きてる。でも…傷が深い……どうすれば…?」
私の光魔法のライトヒールを使う?
でも!魔王に光魔法の効果はあるの?
下手するとさらにダメージに追い打ちをかけるのでは?
「わからない!わからない!考えろ…考えるんだ…!」
気を失っているエスト様を強く抱きかかえ、考えを巡らせた。
「アイツなら…分かるかも…?…しれない…エスト様を助けてくれるかもしれない……こうなったら…
—— 私はエスト様を背負い、ドラゴンの広間に向かった。
(つづく)
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★勇者・サクラの現在のステータス
・名前:サクラ
・種族:鬼
・レベル:141
・スキル:怪力(Lv141)
暴食(Lv7)
冬眠(進化可能)
・称号:ぺったん鬼女
→ 全ステータス 20%ダウン
勇者
→ 成長補正[極]
→ エクストラスキル解放
・魔法 : ライトアロー(光)
フラッシュ(光)
ライトヒール(光)
・エクストラスキル :
光魔法解放(勇者専用)
神眼(Lv1)
→ 一定確率で相手のステータスを確認可
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★魔王・エストの現在のステータス
・名前:エスト
・種族:魔神族
・レベル:60
・スキル:魔力増幅(Lv60)
魔法耐性(Lv31)
・称号:魔王
→ 成長補正[極]
→ エクストラスキル解放
・魔法 : バリア(無属性)
アロー(光を除く全属性)、ほか
・エクストラスキル :
ヘル・シール
→ 全魔力を消費する事で一定確率で勇者を地獄に封印可
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