エンディング:「ボクのこと忘れないで」「僕も頑張るからね」
映画ドラえもんのエンディングでは「友との別れ」がよく演出されます(あるいは全部そうかも?)。
本作も例外ではないのですが、1つのシーンで2つのお別れが一緒に描かれるのが特徴といえるかもしれません。
●ククルとのお別れ
タイムパトロールの機体で楽園(日本)へと戻ってきた一同。
クラヤミ族は元の住処へ戻り、脅威が今度こそ消えたヒカリ族はそのまま定住。この辺りに関しては特にタイムパトロールから何か忠告もありません(※1)。
ココでのび太がククルに「犬笛」を返そうとします。
「この笛のおかげで助かったんだよ」とお礼をするのび太でしたが、ククルは犬笛をのび太にあげることにしたようで。
「ソレはのび太に持っていて欲しい」
「その代わり、ボクのこと忘れないで」
上記のセリフを口にします。
事情をしっかり説明されたシーンがなくとも、ククルはのび太達とのお別れを感じていたのでしょう。
ゆえに「友情の証」(※2)として犬笛をのび太に託したのかもしれませんね……。
※1:ドラえもん達(未来人)がヒカリ族を移住させたのは良いの? ギガゾンビと同じ歴史改変と見なされない?
この辺りの疑問が浮かんだ人もいるでしょうが、おそらく正解はありません。辻褄を合わせたいのであれば「ドラえもん達の行動はすべて本物の歴史に含まれている」とするのが良いかもですね。
※2:または思い出の証とも。ククルが常に身に着けていた物であり、のび太の窮地を救ったキーアイテム。この犬笛があれば、確かにククルを思い出さずにはいられないですね。
完全に余談ですが、友情の証としては「親友テレカ」なんて道具があったな~なんて思い出したり。
●ペガ達とお別れ
ここからは涙もろい人はタオルを準備すると良いかも?
のび太とククルの別れが爽やか度が高めだったのに対して、コッチのお別れはキャラクターみんなが涙でボロボロになります。
第二の別れの始まりはタイムパトロールの隊長が動き出したところから。
彼女はのび太に対して「そこにいるペットはキミの?」と問います。のび太は「はい! 僕の自慢のペットなんです!」と誇らしげに答えます。コレだけで共に楽園で暮らし、ギガゾンビと戦った大事な仲間であると伝わるには十分でしょう。
ですが、隊長はこう続けます。
「その子達は未来に連れて行かないといけない」と。
驚き動揺するのび太は「いやだ!!」と、ペガ達を連れて行くことを拒否します。
「ボクはこの子達のお母さんなんだ! ずっと一緒に暮らすんだ!」
生みの親であると考えればとてもまっとうで愛にあふれた発言ですね。
ただタイムパトロール側としても親子を引き裂きたいわけではありません。ただ、ペガ達はどの時代にも存在しない空想の動物です。そのため未来以外では存在を許されず、幸せに生きていけない。だから未来の空想サファリパークに行った方が良いんだって話しです。この辺りの考えは旧作と同様ですね。
「のび太くん。気持ちはわかるけど、ペガ達がどうするのが幸せかを考えてあげないと……」
ドラえもんを始めとした仲間達のフォローが入り、意固地になりかけたのび太が改めて3匹と見つめ合います。
そのあと、ゆっくりと隊長の下へ歩み寄ってお願いをします。脳裏にはペガ達との思い出が蘇っているのですが、その場面は上映してる画面にも映りますので視聴者にもしっかり伝わります。
「ドラコは食いしん坊だから。食べ過ぎに注意してください」
「グリは、木の枝をとってくるのが好きなんです」
「それから……ペガは、ペガは……毎晩ブラシをかけてください!」
そもそも涙ぐんでいたのび太でしたが、お願いを言いきったところでボロボロと大泣きしてしまいます。
その光景にドラえもん達ももらい泣き。
すると、これまでサングラスをかけていた隊長がソレを外して優しく答えます。
「わかったわ、しっかり伝えておきます」
のび太の背に合わせてしゃがみこんで頭をなでる。そんな彼女は子供の気持ちを理解できる立派な大人として描かれていましたね。
ココでちょっと場面は飛んで、タイムパトロールの機体に乗りこんだペガ達と手を振ってお別れするところに切り替わります。せめて少しでも顔が見えるようにという配慮なのか、時空を超える直前までハッチが開いたままで浮かび上がっていくタイムパトロールのタイムマシン。
ドラミ「無事に送り届けるわ‼︎」
しずか「さようなら!」
ドラえもん「頼んだぞ、ドラミ!」
ジャイアン「あばよ!」
スネ夫「忘れるなよ‼︎」
各キャラが別れの言葉を告げる中、のび太だけが背中を向けて何も言いません。
その光景を見つめる三匹のペット達。開いていたハッチも徐々に閉まっていき、いよいよその顔も見えなくなる直前。
ペガが大きく嘶きます。
その声が届いたのび太は、走り出して叫ぶのです。
「ペガ——ッ‼︎ グリ、ドラコ! 未来の子供たちに可愛がってもらうんだぞ‼︎ きっと会いにいくからね」
途中でこけてしまいますが、彼は顔を上げて続けます。
「僕は…… 僕も頑張るからね‼︎」
のび太が自分の子供達と約束をした後にククルがその肩に手をおく場面があり、そしてタイムパトロールの船は未来へとワープ。ココで場面が閉じられます。
●そして現代
もう少しだけエンディングは続き、現代のシーンが始まります。
ドラえもんが家出する理由となったハムスターを持って仕事へ行こうとするのび太パパ。
パパを見送ったのび太ママがのび太の部屋に向かいます。
「……のび太、遅刻するわよ?」
ドアを開けるとソコには勉強机に座って眠っているのび太と、「し~~」とジェスチャーするドラえもんがいました。
ママが近づくと、寝ているのび太の頭の下には「0点の答案」とノートに勉強した跡がありました。
少し暗い表情から明るい表情へと変わるママ。
ママ「……家出は終わったの?」
ドラ「多分ね……」
ママ「おかえり、のび太……」
カメラが電気スタンドにかけられた犬笛を映し出し、シーンは終了。
エンディング曲とスタッフロールが流れ始めるのです。
●エンディング曲中もよーく観てみると?
登場キャラ達のその後が少しずつ描かれています。
家出した少年少女はその家出理由に関する1シーンが。
ククルは大人&族長になり、妻や子供と一緒にいる姿が。
ペガ達はたくさんの空想動物といる姿が見受けられますね。
上映終了まで見所たっぷり。ラストに映るのは「からみあう木」と「石槍」。
これらの情景から何を感じとれるのかを考えてみるのも一興だと思います。
以上!
エンディング始め~~上映終了までとなりました。
本作のエンディングは涙腺に与えるダメージがとても大きく、涙もろい人はタオル用意がオススメです。
『映画ドラえもん』には本作だけではなく、いくつもの「泣けちゃう」作品がありますのでそういうシーンが大好きな人には是非とも観てほしいものですね(笑)。
……ふぅ~~。
これで新版で語るべきことも終わってしまいました。
長々とお付き合いしてくれた方には、深々とおじぎをさせていただきます。
(多分)次回でこのエッセイも終了です。
最終回は「まとめ」といった形で、旧作・新版を比較して変化した箇所やその意味合いなどについて掘り下げられたらいいな~と考えております。
まあ、それはともかくとして。
この度はこの言葉をもって締めくくるといたしましょう。
『新・日本誕生』さいこーーーーーーーーう!!!!!
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