発想法

第1話

タバコを最近、辞めた。

タバコが吸いたくなったら、とりあえず深呼吸するようにしている。深呼吸すると、気持ちが落ちつき、手足が温かくなる。すると、しばらくタバコのことを忘れられるのだ。たまに、タバコが猛烈に吸いたくなるときがある。大抵、考え事をしているときだ。新しいアイデアを求めているとき、タバコが吸いたくなる。

そこで、タバコに頼らずアイデアを発想するために、メモ帳を買ってきた。頭に浮かんだ事を、何でも良いから紙に書く。書きながら考えると、人間の脳はよく働くらしい。頭に何も浮かばないときは、本を読む。本を読んで、気になったフレーズや、自分が知らなかった言葉、読みながら思い付いた事など何でもよいので、メモに書き付けるのだ。

で、そのメモ帳を作り初めて１週間くらいたった。あとから読み返してみると、なぜこんなことを書いたのだろう？と不思議に思うことが書いてあったりする。ひょっとしたら、時間のムダなのかもしれない。でも、こうしたムダな作業がなければ、アタマは働かないのだ。きっと。こうした作業を楽しめる人がモノを書く仕事につけるのだろう。

メモ帳にこんな事が書いてあった。

「太宰治と宇宙物理学の共通点は何か？」

なぜ、こんな事を書いたのか、さっぱり思い出せない。でも、考えるお題としてはちょうどいいかもしれない。外を散歩しながら、じっくり考えてみるとしよう。