35話
ゲームセンターへ着き、楓さんに説明をしながら、UFOキャッチャーが、たくさん並んだ店内を見て回る。
すると、夏海が一台のUFOキャッチャーの前で立ち止まると、かわいいなぁ…。と、見つめながら言った。
私達も、側に寄り見てみると、中には青いリボンを付けた白いくまのぬいぐるみが、寝かせられた状態で景品として置かれていた。
夏海は、くまのぬいぐるみがすごく気に入ったみたいで、挑戦を始める。
私達も、緊張しながら見守る。
一回目。
頭の部分を狙い、ぬいぐるみは持ち上がるけど、すぐに落ちてしまう。
二回目。
狙いが逸れてしまったけど、リボンに引っかかり、持ち上がる。けど、落ちてしまう。
その後も何回か挑戦するも、ぬいぐるみを取ることが出来ず。
代わりに、私と朝日と雪も挑戦してみたけど、やっぱり取れず。
残念だけど、夏海がぬいぐるみを諦めようとした時、私達の挑戦を見ていた楓さんが、
「わたくしも挑戦してみてもいいかしら?」
と、言った。
私達は、もちろんいいですよ!と返事をすると、楓さんの挑戦が始まる。
楓さんは、なにかを呟きながらアームとぬいぐるみを見比べると、ボタンでアームの操作をする。
アームが見事に、くまのぬいぐるみの腕とお腹の部分に入ると、そのまま持ち上がる。
みんなが、そのまま…!お願い…!と緊張しながら見守る。
アームが上がりきると少しガタンと揺れるけど、ぬいぐるみはアームに掴まれたまま落ちずにいた。
そして、景品獲得の穴まで運ばれ、落ちる。
なんと、楓さんは一回で見事にぬいぐるみを獲得したのだった。
ぬいぐるみを取り出し、ふふ。上手くいったわね。と微笑む楓さん。
楓さん!すごいですよ!と、私達も喜ぶ。
そして、楓さんがぬいぐるみを手に夏海の元まで寄ると
「はい!漆原夏海、あなたにあげるわね!」
と言い、ぬいぐるみを夏海へと手渡す。
「え!?いいんですか!?」
「ええ、もちろんよ!あなたの為に取ったんですもの!」
「わぁ!ありがとうございます!」
と夏海がお礼を言い、ぬいぐるみを嬉しそうに抱きしめる。
そんな夏海を見て、楓さんも笑顔に。
そんな二人を見て、私達も笑顔になっていた。
それから、私は楓さんに質問をしてみる。
「楓さん、UFOキャッチャー初めてだったんじゃないんですか?」
「ええ、初めてよ!でも、あなたたちの挑戦を見て、計算してみたの!上手くいってよかったわ!」
「やっぱり楓さんすごいですよねぇ!さすが学年一位です!」
そう言い、楓さんの頭を撫でる。
すると、それを見ていたみんなも撫で始める。
「も、もう!わたくしが一番年上なのよ!」
と言い、怒る楓さんだったんだけど、その表情はどこか嬉しそうだった。
その後は、店内を見て回り、みんなでプリクラを撮ってから最後にカフェで今日の感想を言い合った。
「今日も楽しかったねー!」
「うん!今日も楽しかったー!」
そう言い、思い出しながら笑顔になる朝日。
「はい…!いっぱい照れたけど、楽しかったです…!」
ボウリング場のことを思い出し、また赤くなる雪。
「うんうん!楽しかったー!でも、次は負けないからねー!」
と、また勝負することを決めている夏海。
「ええ!初めてのことばかりだったけれど、本当に楽しかったわ!あなたたちに感謝ね!」
そう言い、先ほど撮ったプリクラを見る楓さん。
私達も切り分けた自分達の分のプリクラを見る。
そこには、朝日と雪に両側から頬にキスをされ照れている私と、前の方でぬいぐるみに両側からキスをしている夏海と照れている楓さんが写っている。
「あはは!かずっちと楓先輩、すごい照れてるねー!」
「二人共照れててかわいいねー!」
「はい…!かわいいです…!」
「や、やめてよぉ…今でも恥ずかしいんだからぁ…」
「あ、あなたがしたいって言うから…!」
「今日は楓先輩と一緒にこのくまちゃんにキスしたかったからねぇ!」
そう言い、ぬいぐるみを大事そうにぎゅっと抱きしめる夏海。
そんな姿を見て、みんなで微笑んでいた。
それからは、しばらく雑談をして、またみんなで遊びにこようね!と約束をして解散する。
こうして、テスト終了の打ち上げと、みんなと付き合ってから初めての休日が終わり、また学校が始まる。
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