34話
目的地である建物に着くと、初めて来る楓さんにまずは説明をする。
「楓さん!ここが前に温泉で話した、私達が普段遊びにくる場所です!」
「まぁ!ここがそうなのね!」
「そうです!今日はスパリゾートみたいなすごいところじゃなく、ここで遊びましょー!」
「ええ!楽しみだわ!それで、ここはどういった所なのかしら?」
「ここは、カラオケやボウリング、ゲームセンターなどが入った複合施設ですよー!」
「わたくし、どれも初めてだから本当に楽しみよ!」
「今日はいっぱい楽しみましょう…!」
説明が終わると私達はまず、ボウリング場へと向かった。
途中、朝日と夏海がすごい盛り上がっていたけど、私は特に気にしていなかった。
そして、この後すぐ、その理由を知ることになる…。
ボウリング場に着くと、さっそく受付を済ませると、みんなで移動する。
楓さんにボウリングのルールを説明し、さっそく始めようとしたんだけど…。
朝日と夏海が、ちょっと待ったー!と止めてくる。
私が、どうしたの?と質問すると、二人が答える。
「ねぇねぇ!チーム分けして、勝負しようよー!」
「それで、負けたチームは勝ったチームのお願いを叶えるってことで!」
「えー!?やだやだ!やらないよぉ!」
私はすごく嫌な予感がして、拒否したんだけど…
「それは面白そうね!」
「が、頑張ります…!」
なぜか楓さんと雪が賛成派となり、やることに決まってしまう。
まずは、チーム分けの為に全員がどれくらいの実力なのかを聞く。
朝日 持ち前の運動神経でかなり上手
夏海 朝日には劣るけど、なかなか上手とのこと
楓さん 初めての為、不明
雪 あまり得意ではないらしい
私もそこまで得意ではない。
そして、みんなでチームを決める。
どういう、チームになったかというと…
朝日と楓さんvs夏海と雪と私
てっきり、朝日と夏海が組むのかと思ったら、そこは正々堂々と勝負したいらしい。
チームが決まり、勝負が始まったのだけど…。
結果
朝日 163 楓 94 トータル257
夏海 144 雪 63 私 36 トータル243
はい。
私が足を引っ張りました。
夏海はもちろん、雪も両手投げで頑張ってくれてたのに…。
楓さんが、途中からコツを掴んで、上手くなるんだもん…。
それに、朝日も上手すぎだよぉ…。
私は心の中でそんな言い訳をしながら、二人に謝る。
「うぅ…二人共ごめんね…私のせいで…」
「かずっちのせいじゃないよー!それに楽しかったから気にしないでー!ね、ゆっきー!」
「はい…!楽しかったです…!王子様は楽しくなかったですか…?」
「ううん!私楽しかったよー!二人共ありがとぉ!」
私を責めず、楽しかったと言ってくれる、二人に感謝してると、勝利チームの朝日と楓さんが言う。
「ボウリング楽しかったねー!」
「ええ!初めてだったけど楽しかったわ!」
二人も楽しかったと喜んでくれている。
この流れならお願いを回避できると思い、次はどこ行こっかー!と言ってみたのだけど…。
「え?かずきなに言ってるの?」
「お願いがまだよ?」
そう言う、朝日と楓さんは目が怖く、逃がしてくれそうになかった…。
夏海と雪も思い出した様で震えている。
「それじゃあ、お願いするねー!」
「わたくしたちのお願いは…」
なにが来るんだろ…。
変なのじゃないといいなぁ…。
そう考えていると、二人からお願いが発表される。
「「三人に抱きしめてもらう!」」
「「えええぇぇぇ!?」」
「え?」
予想外すぎて、私以上に驚く雪と夏海。
「待って待って!それって、かずっちだけじゃなく!?」
「わ、私達もですか…!?」
「もちろん!楽しみだなー!」
「ふふ!楽しみね!」
なんだか、蚊帳の外にいる私をよそに話が進む。
「ほんとにそれでいいの!?」
「はぅぅ…」
未だに信じられない夏海とすでに真っ赤になる雪。
「うん!さぁ、はやくー!」
「はやく!いらっしゃい!」
両手を広げ待ち構える、朝日と楓さん。
二人は諦めると、夏海が朝日に、雪が楓さんに抱きつく。
「きゃー!夏海ちゃんだぁ!」
「かわいいわね!真白雪!」
珍しく照れる夏海と、柔らかいです…と呟いている雪。
なぜか、自分からも抱きしめ返す朝日と楓さん。
と、あわわ…と顔を赤くしながら、ひたすら心の中で実況するしかない私。
その後、二人が交代して抱きしめる。
同じく、こっちも柔らかいです…と言っている雪と、照れている夏海。
「雪ちゃんも!ぎゅー!」
「ふふ!漆原夏海もかわいいわね!」
やっぱり、抱きしめ返す朝日と楓さん。
と、顔を赤くしながらも、私も仲間に入れてほしいなぁ…と思う私。
二人がそれぞれ終わると私の番になる。
私も二人に抱きつくんだけど…さっきのを見た後だと、これ以上照れることはなかった。
「かずきもかわいいけど、二人もかわいかったですねー!楓先輩!」
「ええ!かわいかったわね!」
満足そうな朝日と楓さん。
「かずっち…いつもこんな感じだったんだね…」
「王子様…柔らかかったです…」
私に二人が顔を赤くしながら感想を言う。
そして、私も別の意味で顔を赤くしていた。
こうして、この後は、なんとか気持ちを落ち着けると次はゲームセンターへと向かう。
途中私は思っていた。
他の人から見たら私ってあんな感じなんだ…。
うぅ…。
また顔が赤くなってきちゃうよぉ…。
と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます